<漢民族はどの民族よりも中国共産党のジェノサイドを支持している。共産党は民族政党に変質した> 中国の民族問題について思索する際に、中国人、すなわち漢民族と中国共産党を分けて考えようとの意見が日本や欧米にある。果たして、そうした区別は有効だろうか。 1950年代初頭、内モンゴル自治区の党書記兼主席だったウラーンフー(ウランフ)はある演説でこのように指摘した。「自治区の首府フフホト市では幼稚園児も一般の農民も、漢民族はみんなモンゴル人を野蛮人だと呼んで差別している」 この事態を問題視して部下に解決を促したウラーンフーは、恐らく自身の経験に即して発言したのだろう。当時のモンゴル人は母語のほかに日本語と中国語、場合によってはロシア語をも操っていた。日本が支配していた満洲国と蒙もうきょう疆政権(モンゴル自治邦時代含め)は教育に力を入れていた結果、現在の内モンゴル自治区は当時、中国で最も教育水準の高い