テルモが世界初の技術を使った人工心臓を日本で発売する。小型、省エネ、高い耐久性と日本の得意分野を生かしたものだ。医療分野での日本の製造業の可能性を示したケースと言える。 医療技術と言えば、心臓ペースメーカーなど米国発の技術が多いが、日本も世界で活躍する日が近いかもしれない。テルモはこの4月、人工心臓「デュラハート」を日本で発売する。 既に2007年から欧州で販売していたもので、昨年12月、厚生労働省が欧州での実績を踏まえ、製造販売の承認を申請から2年半という異例の速さで与えた。この2月には公的医療保険の適用も決まった。東京大学附属病院の許俊鋭特任教授は、「世界で初めて磁気浮上型遠心ポンプを実用化した人工心臓で、日本が世界に誇れる技術だ」とデュラハートを評価する。 磁気浮上型遠心ポンプは、血液を送り出すポンプ内部の羽根車を磁石で挟み、浮かせたまま回転させて血液を送り出す。羽根車を支える軸受け