『パラサイト』には美学がない ――純士さんは、仁義をことさら重んじる人なんですね。 純士 『こち亀』とか『寅さん』を見て育ってきたから、俺には武士の情けとか、武士の心があるんですよ。世話になった人へ恩を返す話とか、誰かのために一肌脱ぐ話とかが子どもの頃から大好きで。そういうのを「心」と思ってきちゃってるから、「誰でも彼でも死んじまえ!」みたいな話には病的なアレルギーがあるんですよ。 同じ韓国映画でも、『シュリ』や『友へ チング』や『シルミド』には美学があった。男としてのけじめ、みたいなもんがね。でも『パラサイト』には、それがなかった。登場人物のほとんどが、最後までクズ。 麗子 しかも、それを悪いとも思ってへん。 純士 よくこんな作品を世界に晒せるな。恥を知れ、と言いたい。 麗子 後味が悪いから、デートには不向きな映画やな。あと、わいせつなシーンもあるから、子どもにも見せたらあかんな。 純士