きっかけは男4人テキーラ片手のとめどない酔談である。後輩が唐突にこんな話をはじめる。 「インディアンは長距離を馬で移動した後は、必ず休憩しなければならない。1日馬に乗ったら、1日その場にとどまるという風に。そうしなければ、体の移動に魂の移動がついてこれず大変なことになってしまう」 インディアンが本当にこの言い伝えを守っているかはさておき、大変なことになってしまうという肝心な部分の表現のあいまいさはさておき、僕はなんとなくこの話に合点がいったのだ。 移動が多い毎日をしていると魂がついてきていないと感じることが時々ある。 東京からアメリカの西海岸に飛ぶと、時差のせいで夕方には激しい眠気におそわれる。そこで寝てしまうと現地の時間に体が慣れないために散歩をして無理矢理起きているようにする。ホテルから2ブロックはなれたコーヒー屋で往来を眺めてぼーっとする。エスプレッソをすすりつつ「あぁ日本は今頃朝か