このあいだ新しいデジカメを買って、嬉しくていろいろと試し撮りをしていたときのこと。何か面白い被写体はないかと町中を隅から隅までジロジロみていて、ひとつのことに気づいた。町には矢印がすごく多いのだ。店の看板に交通標識、道案内。いたるところに矢印が使われている。 こんなにたくさんある矢印、それぞれ違う場所や方向を指しているわけだが、いっそのこと目に飛び込んでくる矢印全部に従ってみたらどうだろうか。いったいどんなところにたどり着くのか。それともどこにもたどり着かないのだろうか。 (text by 石川 大樹) 出発は蒲田西口 今回歩く街は、大田区の蒲田だ。ここを選んだのには理由があって、じつは僕は1年前までこの近くに住んでいた。1年ぶりに来た町は、思い出というほど遠い記憶ではないけれども、なんだかちょっとした懐かしさを感じる。そんなちょっとだけ懐かしい町を、矢印の案内でぐるっとめぐることができた