日本語で優しく響く発音とされるガ行の「鼻濁音(びだくおん)」を日常生活で使う人は5人に1人しかおらず、全国的に著しく衰退しつつあることが、国立国語研究所の調査でわかった。来世紀には東北地方でわずかに残るだけとなり、それ以外の地域は消滅する可能性が高いという。 ガギグゲゴには通常の濁音と、息を鼻に抜いてやわらかく発音する鼻濁音がある。たとえば「学校」のガは通常の濁音で、「鏡」のガは鼻濁音で発音する。特にアナウンサーの場合、鼻濁音の発音は欠かせない。ただし、もともと鼻濁音を使わない地域も多い。 ノートルダム清心女子大の尾崎喜光教授(社会言語学)は2010年まで在籍した国語研で09年3月、全国の成人803人を対象に「国民の言語使用と言語意識に関する全国調査」を行い、発音の実態を調べた。この種の全国調査では初めて調査員が回答者の声をICレコーダーで録音し、尾崎さんが分析した。 鼻濁音を含む五つの単