大阪市平野区の母子殺害放火事件で、殺人と現住建造物等放火の罪に問われた大阪刑務所刑務官の森健充(たけみつ)被告(54)=休職中=に対する差し戻し審で、大阪地裁(水島和男裁判長)は15日、無罪(求刑・死刑)を言い渡した。最高裁が10年4月、審理が尽くされていないとして2審の死刑判決を破棄し、審理を地裁に差し戻していた。 無罪の余地があるとして最高裁が死刑を破棄したのは、石川県内で元タクシー運転手が殺害された「山中事件」の判決(1989年)以来21年ぶりで、大阪地裁の判断が注目されていた。 この事件は直接的な証拠がなかったため、検察側は状況証拠を積み上げた。特に、事件翌日に現場マンションの階段灰皿から採取された吸い殻72本のうち、DNA型鑑定で被告のものと断定された「ラーク・スーパーライト」1本を重要証拠と位置づけ、被告が事件当日に現場に行ったと主張した。 これに対し、弁護側は「事件当日に現場