インベンション(発明)とイノベーション(革新)の間には大きなギャップが存在して、せっかくの技術シーズも製品化に結びつかず、世の中にイノベーションを起こすこともなく、埋もれていってしまう例が多い。実際、研究開発投資効率の悪さに、密かに業を煮やす経営者も少なくないだろう。 このギャップを、「死の谷」とか「ダーウィンの海」と呼ぶが、これを越えることは容易ではない。資金、情報、人材、時間などの資源がこのギャップを埋めるために必要であり、まさに経営の中心課題といえる。その詳細は米国の研究機関であるNISTが2002年11月に発表した報告書(注1)に譲るが、研究開発と事業の間にあるダーウィンの海を溺れずに渡りきるには、両者の円滑なコミュニケーションが大切である。特に技術と事業の「相互翻訳力」が勝負の決め手と言ってよい。 (注1)”Between Invention and Innovation”,