一番頼りになるはずの夫が敵になる─。自主避難を中止して郡山へ戻るか、離婚して子ども達とともに県外避難を続けるか、決断を迫られている女性がいる。夫や夫の両親の反対を振り切るように娘を連れて自宅を後にした女性はその後、夫の暴力に耐えながら、ほぼ休みなく働き続けて娘を育てている。「私のように、夫の理解を得られないで苦しんでいる女性は多いのではないか」。女性は涙を流しながら取材に応じた。原発事故さえなければ起きなかった夫婦の破たん。子を守るための避難がなぜ悪いことなのか。女性の夫は、3月末までに郡山に戻らなければ離婚すると提示している。あと半年。女性の気持ちは揺らいでいる。 【「避難の必要ない」と反対した夫】 夫とは、初めから放射能に関する考え方が違っていた。 原発事故後、郡山から会津地方の実家に避難しても、夫は「家は心配だ」と三日で帰宅。「マスクしている奴は馬鹿だ」「テレビでは安全だと言っている