1、原告 下田事件とも呼ばれる東京原爆訴訟は、1955年(昭和30年)4月25日に東京地方裁判所原告3名(昭和30年(ワ)第2914号損害賠償請求事件)、そしてその翌日に大阪地方裁判所原告2名(昭和年30(ワ)第1475号事件損害賠償請求事件)により提訴された。原告代理人は、両裁判所とも岡本尚三、松井康浩ら10名(大阪4名、東京5名、広島1名)であった。なお、原告の被爆地は、広島4人、長崎1名である。 2、原告らの請求と双方の主張 請求の趣旨は、原告下田について30万円、その他の原告については、20万円及びこれに対する遅延損害金を支払えというものであり、請求原因は、原爆投下が国際法違反であり、それに基づく原告等のアメリカ及びトルーマン等に損害賠償請求権は、サンフランシスコ条約19条により、放棄されたので、憲法29条3項により補償されるべきであり、また、放棄は国賠法1条に反するという主張であ