町が消え去り、がれきの中を住民がさまよい歩く――。 猛烈な台風30号に直撃されたフィリピン中部。約970万人が被災し、被害の大きかったレイテ島では死者数が1万人に達する恐れも出ている。惨状を目の当たりにした日本人は、「東日本大震災で津波に襲われた町のようだ」と証言した。今のところ日本人の被害情報は入っていないが、現地は電話がつながりにくい状態が続いており、在フィリピン日本大使館などが安否の確認を急いでいる。 「壊滅的な被害が出ている。大津波が来た後のようだった」。フィリピン中部・セブ島で小型飛行機の遊覧飛行などを行う会社を経営する石田武司さん(69)は10日、台風30号で甚大な被害を受けたレイテ島の港湾都市・タクロバンの上空を飛び、がれきの町と化した眼下の光景に言葉を失った。 飛行時間は約30分。石田さんは台風の進路に合わせて小型機を飛ばし、被災地の様子を見た。町があったとみられる場所は、