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昨年末、カリフォルニア州サンフランシスコ市周辺のバークレーやフェアファックスといった地方自治体は、太平洋に流出した福島第一原子力発電所からの放射性物質の影響を憂慮し、地方議会ごとにある決議案を採択した。 フェアファックス町の決議文には次のようなくだりがある。 「福島第一原子力発電所からはいまだに大量の汚染水が太平洋に流れ出ている。(中略)放射性物質は国際社会が直面する最悪の脅威の1つであり、技術的にも最大の課題である。同時に、米西海岸は健康と安全の脅威にさらされている」 「(中略)国連安全保障理事会は30日以内に放射性物質のレベルを減少させるための緊急措置を講じるべきである。さらに米食品医薬品局(FDA)、環境保護庁(EPA)、農務省、国際貿易委員会(ITC)等の連邦機関は、放射性物質が海洋生物や海水等に及ぼす科学的なデータを採取してネット上で公開すべきだ」 地方自治体の決議案としては、か
日本人は“山菜”を採り続け、食べ続けてきた。里山に入れば、そこかしこに山菜がある。人びとは、それを必要な分、食べてきたし、また、必要な分より多くは採らなかった。そうして日本の山菜食文化は続いてきた。 古くから日本人が親しんできた山菜の1つが「わさび」だ。ぜんまい、わらび、じゅんさいと、日本にさまざまな山菜があるなか、鼻を抜ける辛さを持つわさびは和食の代表的食材と言える。 風味は鮮烈で存在感があるが、実際の食卓では蕎麦や刺身などに添えられる脇役だ。粕漬けに入れても酒の肴となる脇役だ。とはいえ脇役もないと物足りない。 人びとは、自生していた山菜のわさびを栽培するようにもなった。日本の清らかな水のあるところには“わさび田”が広がった。日本の風景がわさびによってつくられてきた。 ところが、そんな日本のわさびがいま“危機”を迎えているという。人から人へと保たれてきたこの資源が、脅かされているというの
(2014年1月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 過去について考えることで現在への対処の仕方が改善されるということはあり得るのだろうか? もしあり得るのなら、今年が第1次世界大戦の勃発から100年目に当たることは、現代の政治家たちがミュンヘンを心配する時間を減らしてサラエボについて考える時間を増やすよう促し、ひいては今日の世界に大きく貢献してくれるかもしれない。 もちろん「サラエボ」と「ミュンヘン」は、第1次世界大戦および第2次世界大戦の勃発前に起こった外交危機の略称だ。ところがこの2つの事件は、国際問題への対応策を論じる際に、大きく異なるアプローチを擁護する材料として使われてきた。 大きく異なる2つのアプローチ 政治指導者が「ミュンヘン」を繰り返してはならないと警告する時、それは攻撃的な姿勢への強硬な対応――大抵は軍事行動――を支持する場合がほとんどだ。だが「サラエボ」を引き合いに
12月ともなると、街のあちこちでクリスマスケーキのチラシを見かけるようになる。最近は、ブッシュ・ド・ノエル(薪の形をしたチョコレートのロールケーキ)をはじめ、色とりどりに飾りつけられたケーキがたくさんある。そのどれもがおいしそうに見えるのだが、クリスマスケーキをいざ買う段になると、なぜかいつも定番のショートケーキに手が伸びてしまう。 真っ白の生クリームに、あざやかな赤い苺。そこにざっくりとフォークを突き刺して、ほおばれば、ふんわりとしたスポンジになめらかな生クリームが溶け、苺のフレッシュな甘酸っぱさがきゅっと広がる。シンプルにして完璧な三位一体の組み合わせ。何度食べてもおいしい、飽きのこない味。それがあらかじめ分かっているだけに、ついついショートケーキに回帰したくなるのだ。 それほど好きなショートケーキだが、その来歴についてはこれまでほとんど知らなかった。この連載を始めるまでは、ショートケ
私は2011年の東日本大震災の半年後から英国インペリアルカレッジ・ロンドンの公衆衛生大学院へ留学していましたが、この度留学を終え、本年11月に相馬中央病院内科の常勤医として勤務を始めました。相馬中央病院は現・相馬市長の立谷秀清氏が設立した病院で、規模こそ小さいものの地域に密着した診療を行っています。 相馬市への移住の決意 「原発の近くに支援に入るなんて勇気があるね」と言われることがよくありますが、これには2点、修正したい点があります。 1点目は、私は「支援」に入っているつもりはない、ということです。私が相馬市に移住した理由には様々ありますが、何よりも相馬市の地域復興の在り方が公衆衛生学的な視点から見て興味深かった、という点が挙げられます。 また、現在相馬市という小さな町に研究者、教師、アスリートなど、あらゆる分野で一流の人々が集まっており、そのような人々との交流のチャンスも与えられています
11月20日の衆議院法務委員会で、結婚していない両親から生まれた婚外子の遺産相続を嫡出子と同等にする民法の改正案が可決された。 これは9月に最高裁が、婚外子の遺産相続を嫡出子の半分と定めた民法の規定を違憲と判断したことを受けたものだが、野党が提出した戸籍法の「婚外子」の記載をなくす法案は、公明党は賛成したが自民党の反対多数で否決された。 この背景には、自民党内の保守を自称する政治家の抵抗がある。高市早苗政務調査会長は最高裁判決について「ものすごく悔しい」とコメントし、夫婦別姓にも反対して「日本の伝統を守ろう」と言う。彼女の守ろうとする伝統とは何だろうか。 婚外子の差別は「家」制度の遺物 戸籍という制度は古代中国からあり、一時は東アジア全体に広がったが、今は日本以外は形骸化している(韓国は2008年に廃止した)。現在の戸籍制度はこうした東アジアの伝統とは違い、明治時代の民法で制度化されたもの
以前はインスタントコーヒーの瓶が並んでいたはずの棚を、いつの間にか様々なスティックコーヒーが占拠するようになったのだ。 スティックコーヒーとは、インスタントコーヒーに砂糖や粉末のミルクを加えて、1杯分ずつ小分けし、スティック状に包装した商品。カップにあけてお湯を注ぐだけでカフェオレやカプチーノが楽しめる。 コンビニエンスストアやファストフードなどがコーヒーに力を入れている中で、各コーヒーメーカーはスティックコーヒーに力を入れている。群雄割拠のコーヒー時代、スティックコーヒーは生き残りのための切り札となるだろうか。 “絶滅危惧種”と化した大容量瓶詰め コーヒーの魅力は湯気とともに立ち上る香りとさわやかな苦み。その独特の味わいで世界中の人を魅了してきた。 日本では、江戸時代にオランダ商館に持ち込まれたものがコーヒーの始まりとされるが、本格的に飲まれるようになったのは明治時代になってからだ。戦後
彼らが憂慮しているのは、福島第一原子力発電所から流出した放射性物質が米西海岸に辿り着いていることだが、むやみに日本を非難するのが目的ではない。 今回のイベントの代表であるジーナ・ブルックスさんは、「太平洋を挟んで、日米両国の市民は同じ憂慮を抱き、ストレスを抱えている。だから福島の問題は日本だけではなく、こちらでも同じですということを伝えたかった」と述べる。 ただカナダから米国沿岸にかけて目に見える形で異変が起きており、住民たちは心配を隠さない。 その1つがカリフォルニア州南部に生息するアシカの異変である。今年6月に生まれた子供の45%が死亡したという。 シアトルにある米商務省の海洋大気局(NOAA)海上漁業局の海洋学者シャロン・メリンさんは、「死亡率の高い年でも30%です」と地元メディアに語っている。放射性物質と何らかの関連性が疑われている。 アーカンソー州に本部がある「核エネルギー追跡セ
“小説より奇なり”の事件が、ドイツで話題になっている。ミュンヘンの高級マンションの一室から、1400点あまりの絵画が発見された。 それがなんと、ピカソ、ルノアール、クールベ、マティス、トゥールーズ=ロートレック、マルク、マッケ、ノルデ、ココシュカ、キルヒナー、さらに、ディックス、シャガールと、目を疑いたくなるような品ぞろい。 さらにデューラー(1471‐1528)、カナレット(1697‐1768)といった古典も見つかっている。推定価値は10億ユーロ(約1330億円)。 不思議なのは、それらが、鎧戸を下ろしたままのマンションの部屋で、大量のゴミと、何十年も前に期限切れになっているような缶詰に囲まれて、人知れず保管されていたということ。 これらの絵の所有者はコーネリウス・グルリット氏といって、現在80歳。絵と共にひっそりと暮らしていたという。 ナチ政権時代に失われた絵画の一群が忽然と現れた さ
(英エコノミスト誌 2013年11月9日号) 英国は、心地よい孤立か、緊張感のある開放性かの選択を迫られている。選ぶべきは開放性だ。 先行きが最も不穏な欧州の国はどこかと聞かれれば、多くの人は経済の崩壊に苦しむギリシャかイタリアを挙げるだろう。フランスと答える人も少しはいるかもしれない。何しろフランスは、国家主義的モデルの失敗をいまだに受け入れられずにいる。 英国を選ぶ人はほとんどいないだろう。英国はこれまで、比較的うまく危機を切り抜けてきたからだ。 だが、世界における英国の地位は、過去数十年に比べて不確かなものになっている。2014年5月の選挙では、有権者が欧州連合(EU)を毛嫌いする英国独立党(UKIP)の一団を欧州議会に送り込む可能性が高い。 さらに9月には、スコットランドで独立を巡る住民投票が控えている。2015年には総選挙がある。そして2017年末か、場合によってはそれより前に、
インドネシアには世界シェアで上位に入る資源や産業が数多く存在するが、日本人にあまり知られてないものに、パームオイルというものがある。 このパームオイルで、インドネシアは生産量、輸出量ともに世界トップシェアを占め、2位のマレーシアと合わせる世界のシェア9割近くになる圧倒的な生産国兼輸出国になる。 パームオイルは植物油のなかで、世界で最も多く消費されているオイルであるということを考えると、2カ国で9割という状態がいかに大変な数字かお分かりいただけるだろう。 今回は多くの日本人にとってなじみのないパームオイルが、実は日本でも重要な存在になっていること、またパームオイルが引き起こしているいくつかの問題についてお伝えしたい。 パームオイルなんて聞いたことがないという方や、聞いたことはあるけどよく分かっていないという方にもパームオイルを身近に感じてもらうため、実は知らないだけで毎日使ったり食べたりして
10月1日 安倍晋三首相は2014年4月より消費税を5%から8%に引き上げることを表明しました。それを受けて、様々な業界で3%増税分を価格に転嫁する動きが次々に明らかになってきました。 日本郵便は現在50円のはがき代金を52円に、80円の封書代金を82円に値上げすることを表明しています。また、銀行の振込手数料は105円が108円へと3円値上げ、タバコも1箱につき20円、ディズニーランドの入園料も200円値上げされるようです。 その一方、あまり意識されることはありませんが、医療費には消費税がかかりません。非課税なのです。 このことについて、「医療費は消費税がかからないので、来年4月から3%消費税が増えようが、これから先、さらに10%になろうが、医療費は増税の影響を受けません」と説明しているメディアも見受けられます。しかし、それは認識があまりにも表面的すぎます。 なぜならば、利用者が窓口で支払
スコットランド首席大臣(首相)のアレックス・サモンド氏は先日、独立国家スコットランドを目指す決意を表明した。決意表明は見事なパフォーマンスだった。 その直後に投票があったとしたら、スコットランド人は間違いなく英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)からの離脱に票を投じていただろう。 欧州は嵐から隠れる政治家に満ちている。サモンド氏は例の珍しい存在だ。政治情勢を変えることを決意した指導者なのだ。 保守党が主導する英国の連立政権は窮地に陥っている。どんどん上がる家庭用エネルギー価格に対する国民の怒りは、政治的なムードの変化を告げている。資本主義は2008年の大暴落を乗り切ったが、何年も続く生活水準の低下で、有権者は自由主義経済の欠点に敏感になった。 有権者は、銀行業界でもエネルギー業界でも同様に、市場は一握りの人に有利になるよう不正操作されることがあることを知った。企業の経営幹部は緊
法律の中には、あまりにも危険であるため残しておいてはいけないものがいくつかある。 例えば、米国の債務上限について考えてみよう。あの法律は、米国が自分自身を標的にして設置した核爆弾のようなものであり、爆発すればその影響は全世界に及ぶ。決して使ってはならないものなど、存在させるべきではない。 現在行われている協議の結果に関係なく、この法律は撤廃する必要がある。これほど破壊的な脅威にさらされていては、秩序ある政府を目指すことなどできるはずがない。 政府機関の一部閉鎖などとはわけが違う。政府閉鎖は馬鹿げているし不当でもあるが、こちらは何とか制御できる。しかし、債務上限の引き上げに失敗したらそうはいかない。 確かに、債務上限を巡る一連のゴタゴタにはつい苦笑いしてしまう面もある。読者の中には、「不確実性」が景気回復を妨げているという共和党の主張を覚えておられる方も多いだろう。しかし実際には、世界で最も
9月5日午後(日本時間同日夜)、ロシア・サンクトペテルブルクでの20カ国・地域(G20)首脳会議に先立ち、安倍晋三首相が中国の習近平国家主席と握手をした。両首脳があいさつレベルとはいえ、直接会話したのは初めてだ。 日本側は「短時間だが、両首脳の就任後、直接言葉を交わした意義は大きい」とし、また中国側も「中日関係が直面する困難な状況は中国も望まない」と、決着に向けて動き出すことへの期待をにじませた。 中国のメディアも「(中国の)大国の余裕を見せた」という評価を加えながらも、「大変礼儀のあるもので、かつリラックスしたものだった」と、前向きな報道を繰り返した。 他方、全世界の華人向けに放送する鳳凰衛星テレビが行ったアンケート調査によれば、「この握手が今後の日中関係に影響をもたらすか」という問いに対して、「ない」との回答が87%にも上ったという。両首脳の握手ごときでは関係の修復などあり得ないという
冷静に見れば、透明パックに無造作に詰め込まれたアレに、そんなに魅力があるとは思えない。肉は、切れっぱしがあるかないか。モヤシやキャベツだって、ぴろぴろと申し訳程度にくっついているだけのことが多い。“焼きそば”と名乗るからには、炒めた麺さえあれば看板に嘘偽りはないのだが、それにしたって・・・。 鉄板で大量にジャージャーと炒める、あの豪快な音とビジュアルにやられるのか。それとも、お祭り雰囲気が味覚に影響を及ぼしているのか。理由は分からない。ただ、あの香ばしいソースの匂いが、非日常のスイッチを押しているような気がする。 焼きそばの故郷は中国である。中華料理の炒麺(チャオミェン)がアジアを中心に各地へ広まり、その土地ならではのアレンジが加わり、地域色豊かな料理へと変貌を遂げた。 例えばタイの代表的な焼きそば「パッ・タイ」は、米麺に魚醤のナンプラー、砂糖、レモンなどで味をつけた甘い、酸っぱい、しょっ
211試合出場停止という最も重い処分を受けたのは、ニューヨーク・ヤンキースのスーパースター、アレックス・ロドリゲス選手。米野球史に残る名プレイヤーと言われた彼の名声はあっという間に地に落ちた。 他にもミルウォーキー・ブルーワーズのライアン・ブラウン外野手や3人のオールスタープレイヤーが処分を受けた。 理由は禁止薬物を使用していた疑いが濃厚だということだ。運動能力を向上させるための薬物で、男性ホルモンの一種、「テストステロン」と「ヒト成長ホルモン(HGH)」の2種類が今回のメジャーリーグによる調査の対象禁止薬物だった。 一斉処分となったきっかけは、フロリダ州にあるアンチエイジング専門のクリニックに捜査が入ったことだった。アンチエイジングの看板を掲げながら、裏でスポーツ選手にHGHなどの運動能力向上の薬物を不法に与えているという内部告発があったのだ。 この調査で芋づる式に超有名選手の名前が出た
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