富裕層に対する課税のゆがみが国内外で課題になっている。石破茂首相は就任前、所得が特に多い層ほど税負担率が低くなる「1億円の壁」の是正を念頭に、金融所得課税の強化に言及したが、所信表明演説では触れなかった。世界各国でも「超富裕層」の低い税負担が問題視されている。首相は自民党総裁選に出馬表明した後の9月、金融所得課税の強化を「実行したい」と語った。その後に「個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)
世界で最も有名なセルビア人スポーツ選手といえば、男子テニスのノバク・ジョコビッチだろう。だが、同選手が拠点としているのは小さなモナコ公国だ。実際、プロテニス協会(ATP)ランキング上位10人のうち5人がモナコを主たる居住地としている。その理由は明らかだ。 フランス南岸コートダジュールに位置する面積約2平方キロの極小国家であるモナコは、年間300日以上の晴天に恵まれ、欧州各国の首都から飛行機で簡単に行き来でき、有名なムラトグルー・テニスアカデミーをはじめとする優れた練習施設にも車で1時間以内の距離にある。 一流のスポーツ選手や超富裕層にとっては別の利点もある。モナコはタックスヘイブン(租税回避地)であり、個人所得税や資本利得税、投資税がかからない。これは、過去1年間の収入が3840万ドル(約57億円)と推定され、フォーブスの「世界で最も稼ぐテニス選手ランキング」で1位に君臨するジョコビッチの
クレプトクラシー 資金洗浄の巨大な闇: 世界最大のマネーロンダリング天国アメリカ 作者:ケイシー・ミシェル草思社Amazonこの『クリプトラシー資金洗浄の巨大な闇』は、米国でこれまで行われてきた資金洗浄の実態について書かれた一冊である。僕のような一般市民からすれば資金洗浄、マネーロンダリングと言われても一部の汚いカネを持った富裕層はそういうことを演る人もおるんやろなぐらいの認識で、特段それについて深く考えたり、問題に思ったことはなかったが、本書を読むとなかなかに被害の大きい行為であることがわかる。 副題に「世界最大のマネーロンダリング天国アメリカ」と入っているように、本書の事例はアメリカのみなので(資金洗浄を行いたい日本人も出てこない)日本人読者からすれば距離のある話ではあるが、アメリカでいかにマネーロンダリングが盛大に行われてきたのか。それを許してきた司法のシステム、抜け穴とは何なのか。
市場価格が定まっていない「無形資産」 多国籍企業がグループ子会社間取引を通じて、利益を高課税国から低課税国に移す操作ができないよう、移転価格税制が用いられている。 これは例えば、子会社Aが子会社Bから法外に高い原材料を購入する対価として、AからBへの莫大な費用が支払われる形を装って利益移転が行われるのを規制するものである。これが利益移転か否かを判定する基準として、課税当局は、取引されている財・サービスの市場価格情報を使う。 つまり、あたかもその財・サービスが、無関係な第三者との市場取引を想定した場合に適用される価格を、多国籍企業グループ企業間の取引に適用する。 もし、その取引を通じて法外な利益移転が行われているならば、グループ企業間の取引価格は、市場価格から大きく乖離かいりしているはずである。こうして利益移転が炙り出されれば、課税局はそれに対して課税処分を行うことができる。 だが、移転価格
世界中の富裕層や外国資本を呼び込んでいる北海道の「ニセコエリア」。詳しく調べてみると、いわゆる「タックスヘイブン(租税回避地)」に拠点を置く法人が次々と土地や建物を取得していました。その数、わかっただけで200近く。その中には「ペーパーカンパニー」と呼ばれるものまで。なぜ、そんな法人や「ペーパーカンパニー」が次々とニセコエリアで不動産を取得しているのか。その謎を解く手がかりが香港にあることがわかり、取材しました。見えてきたのは、私たちの常識とはかけ離れた世界の富裕層のリアルでした…。 (社会部記者・藤本智充/函館放送局記者・川口朋晃) ニセコエリアと呼ばれるのは、北海道・倶知安町、ニセコ町、蘭越町の3つの町。これまでの取材で、3つの町で不動産を取得する外国資本の数は少なくとも1818法人。 さらに、イギリス領バージン諸島などのいわゆる「タックスヘイブン」に拠点を置く法人は少なくとも延べ19
2019年のダボス会議が終わってから、さらに注目を集めている参加者がいる。オランダ人の歴史学者ルトガー・ブレグマンだ。日本でもTEDトークや著書『隷属なき道』などを通してベーシックインカム論者として知られている。 彼がパネリストとして参加したディスカッション「不平等の代償」のダイジェスト動画(NOW THIS NEWS)は現在、800万回近く再生されている。 なぜそんなに注目されているのか。全訳でお届けする──。 税金逃れを逃すな ルトガー・ブレグマン(歴史学者):ダボスには初参加です。しかしこれはどうしたもんかなっていうのが正直なところです。 だって、1500機ものプライベートジェットがここに飛んできて、われわれがいかにこの惑星をぶち壊しているかというデービッド・アッテンボロー卿の話を聴きにきてるわけです。 で、みんなが「参加」とか「正義」とか「平等」とか「透明性」って言葉でしゃべってる
非正規労働者を大量に使って利益を出して、株価を上げて、 何十億円もの収入を得て、豪遊している経営者がいる。 今、その経営者を支持する人と、非難する人で、意見が割れている。 あなたは、どちらを支持しますか? 時給千円分の価値の労働しかしない労働者に、 経営者が時給千円しか払わないのは、当たり前だ。 会社がどんなに儲けていようと、 経営者に何十億円の年収があろうと、 そんなことは関係ない。 誰でもできる仕事なんて、時給千円の値段しかつかなくて当然。 低賃金が嫌なら、努力して、経営者が高く買いたくなるような人材になればいいのである。 それが、市場原理主義者たちの考える、 「フェア(公正)な取引」というものだ。 ところが、人間の脳は、必ずしも「市場原理主義的なフェア」をフェアだと感じないということが、 心理学の研究でわかっている。 たとえば、大雪が降った翌朝、 金物屋が雪かき用のシャベルの販売価格
ニセコエリアと呼ばれるのは、北海道の倶知安町、ニセコ町、蘭越町の3つの町。このエリアで外国資本がどの程度、不動産を取得しているのか、調べようとするも、いきなり壁にぶつかりました。 森林については、北海道庁の調査がありましたが(5月29日公開「水資源が狙われている問題を調べてみた」)、宅地やマンションなどの不動産については、国や自治体などのデータが全くないのです。諦めきれない記者は、自治体への取材を重ね、登記簿をとり、独自に集計してみました。 半年ほどかけて調べた結果、3つの町で不動産を所有する外国資本の数は、少なくとも1512にのぼることがわかりました(NHK調べ ことし1月時点)。 国別の内訳をみると、最も多いのは香港の法人や個人で560。次いでオーストラリアが390、シンガポールが191となっていました。このほかにもアラブ首長国連邦やプエルトリコといった国もあり、判明した国と地域は合わ
タックスヘイブン(租税回避地)と各国の要人や大企業との関わりを明らかにしたパラダイス文書について、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ、本部・米ワシントン)は17日午前(日本時間で同日夜)、文書に登場する法人や、その株主らの名前などをネット上で公開する。守秘性が高いタックスヘイブン法人の持ち主が明かされる。 パラダイス文書は、英領バミューダ諸島などに拠点を置く法律事務所「アップルビー」から流出した内部文書や、バハマやマルタなど19の国・地域の登記情報などからなる。 このうち17日に公開されるのはアップルビーの顧客データに含まれる約2万5千の法人や組合の情報。法人名や所在地、株主と役員の名前、住所などをICIJは公益性の観点から公開する。今後、アップルビー以外のデータからも約10万の法人などの情報を公開する方針だ。 アップルビーのデータに関するICIJの集計によると、17日の公開対象でバ
世界各国の首脳や富裕層による資産隠しや課税逃れを暴いた「パナマ文書」報道が、優れた報道に贈られる、ことしのピュリツァー賞に選ばれました。 パナマ文書は南ドイツ新聞が入手した中米パナマの法律事務所の膨大な量の顧客データで、ICIJが世界各国の記者と連携して分析し、租税回避地=タックスヘイブンを使った各国の首脳や富裕層らによる資産隠しや税逃れの実態を暴きました。 選考委員会は「6つの大陸の300人以上の記者が協力することによって、世界規模でタックスヘイブンの隠された構造を明らかにした」と、ジャーナリストの国際的な連携を評価しています。 ICIJのジェラルド・ライル代表は「この栄誉は世界中にいるパートナーとのチームワークの証です。パナマ文書の共同取材による画期的な発見と、世界的な衝撃が認識されて光栄に思います」とコメントしています。 パナマ文書の分析には、日本では朝日新聞と共同通信が参加し、去年
「パナマ文書」の暴露により、世界の偉い人・有名人の資産隠しや租税回避が明るみに出ました。 これを発端に、いままでなじみの薄かったいわゆる「タックスヘイブン」(租税回避地)の存在が明るみになり、日本でもひろく報道・議論されるようになりました。 しかしながら、このような議論のなかで、いくつかタックスヘイブンにまつわる誤解が生まれているような気がしますので、これを機会に少し整理してみたいと思います。 (2016/4/10 03:15追記しました) はじめに書き手(増田とします)は民間企業の中の人ですので、もちろん中立的な観点からお話ができるよう配慮はしますが、いくらか企業寄りの、バイアスのかかった記事になってしまう可能性があることを申し添えます。 記載内容は厳密には異なる場合、細かい部分を捨象している場合や例外が存在しており、あらゆる場面で正確性を担保できるものではありません。 「企業はタックス
まずパナマ文書の基本的な性格を理解しましょうCNN.co.jp : 「パナマ文書」とは これまでの動きを振り返る - (1/3) http://www.cnn.co.jp/world/35080758.html パナマ文書とは、パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した過去40年分の取引記録のことです。モサック・フォンセカは、世界中の資産家を相手にペーパーカンパニーやオフショア口座を作る仕事をしていて、流出事件の直前まで米経済誌に注目の人として掲載されるなど、経済界では有名な一流の事務所でした。なので一事務所の流出情報にかかわらず、世界中の有名人・著名人の名前もバンバン出てきて大騒ぎになっているのです。 タックスヘイブン利用者や税金逃れ情報についての国際的に大きな情報流出事件は、パナマ文書以前に複数あります。2013年のオフショアリークス、2014年のルクセンブルクリークス、2
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