つくば市といえば研究学園都市のイメージが強いと思いますが、それは1985年の科学博以降のこと。近年開発されるまでは田畑、山林、筑波山と自然ばかりの土地でした。 中世まで遡ると筑波山付近は軍事的な要所として多くの武将に注目されていたんですよね。南朝の後醍醐天皇は常陸国の国府をいまの石岡からつくばの小田に移そうとしていた、なんて話を耳にしたことがあります。霊山・筑波山の影響で古くから信仰の盛んな地域でもありますので、つくばの民話は多方にわたっています。 本書は現在のつくば市に旧筑波郡の永井(土浦市)や宍塚(土浦市)を加えた範囲の民話30話を収録しています。どのお話も現在に残る地名や寺社名が記載されていますので、関心を持って読めると思います。対象年齢は10歳くらいからでしょうか。挿し絵が多くどのお話もちょっとだけ刺激的なのがいいですね。定番の「筑波山と富士山」もありましたよ。常陸国風土記の筑波郡