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ブックマーク / blog.tatsuru.com (17)

  • 共同通信で配信されたコメント - 内田樹の研究室

    安保法案が成立した。これほど瑕疵の多い法案を私は過去に見たことがない。 憲法学者も元最高裁判事も元内閣法制局長官もその違憲性を指摘した。歴代内閣が踏襲してきた憲法解釈は「安全保障環境の変化」という一語によって覆された。立法事実は次々と変遷し、どのような危機的事態に対応するための法律なのかはついに明らかにならなかった。廃案を求める多くの国民の声に政府はまったく耳を貸さなかった。そのようにして戦後日を律してきた安全保障政策の決定的な転換が行われ、日は「戦争ができる国」になった。 これほど否定的条件が整いながら、あえて安倍内閣が法案の早期成立にこだわった合理的な理由は一つしかない。それは四月の米議会での演説の中で、首相が「この夏までに、成就させます」と誓言したからである。 彼は「米国に対してなした誓約の履行義務はあらゆるものに優先する」と信じている。それが国内法に違反しようと、法的安定性を揺

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    motowaka 2015/09/19
    “安倍首相はその誓言を誠実に履行した。そして、彼はかつて韓国の李承晩、ベトナムのゴ・ディン・ジエム、インドネシアのスハルト、フィリピンのマルコスを迎えた「開発独裁の殿堂」入りを本日果したのである”
  • 8月23日SEALDsKANSAI京都でのスピーチ - 内田樹の研究室

    8月23日(日)15:30から京都円山公園で開催されたSEALDs KANSAIの集会で「安全保障関連法案に反対する学者の会」を代表して連帯の挨拶を述べた。 ふだんは即興でやるのだが、この日は少し長めの時間をもらったので、原稿を作っていった。それをだいたい頭に入れて話した。現場でした話と細かいところは違うけれど、だいたいこういう話。 安全保障関連法案に反対する学者の会を代表して、ひとことご挨拶を申し上げます。 この円山公園での「戦争法案に反対する若者の全国一斉行動」にお集まりくださったすべてのみなさんに学者の会を代表して、感謝と連帯の気持ちを表したいと思います。 そして、この間、一貫して忍耐強い、手作りの反対運動を全国規模で展開し、現に行われている国会審議にも強い影響力を及ぼし、さらに国内だけでなく、海外メディアからも注目されるに至ったSEALDs の学生諸君の献身的な活動に対しても、心か

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    motowaka 2015/09/19
  • 国旗国歌について - 内田樹の研究室

    国立大学での国旗掲揚国歌斉唱を求める文科省の要請に対して、大学人として反対している。 その理由が「わからない」という人が散見される(散見どころじゃないけど)。 同じことを何度もいうのも面倒なので、国旗国歌についての私の基的な見解をまた掲げておく。 今から16年前、1999年に書かれたものである。 私の意見はそのときと変わっていない。 国旗国歌法案が参院を通過した。 このような法的規制によって現代の若者たちに決定的に欠落している公共心を再建できるとは私はまったく思わない。すでに繰り返し指摘しているように、「公」という観念こそは戦後日社会が半世紀かけて全力を尽くして破壊してきたものである。半世紀かけて国全体が壊してきたものをいまさら一編の法律条文でどうにかしようとするのはどだい無理なことだ。 ともあれ、遠からず、この立法化で勢いを得て騒ぎ出すお調子者が出てくるだろう。式典などで君が代に唱和

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    motowaka 2015/06/22
  • 朝日新聞への寄稿 - 内田樹の研究室

    5月21日の朝日新聞夕刊に住民投票の結果を承けて一文を寄せた。 朝日読者以外のかたのために再録しておく。 いわゆる「大阪都構想」と呼ばれる大阪市の解体構想についての住民投票が終わり、構想は否決された。数千票が動けば勝敗が逆転するほどの僅差だった。だから、この結果について「民意が決した」とか「当否の判定が下った」というふうな大仰なもの言いをすることは控えたいと思う。賛否いずれの有権者も「大阪の繁栄」と「非効率な機構の改善」と「行政サービスの向上」を願っていた点に違いはない。賛否を分けたのは、その目標を実現するためにどのような方法を採るのか、「急激な改革か、ゆるやかな改革か」という遅速の差であった。「独裁的、強権的」と批判された市長の政治姿勢も、賛成派には「効率的でスピードのある改革のためには必要な技術的迂回」と見えたことだろう。だが、遅速の差は、まなじりを決して、政治生命をかけて戦うほどのこ

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    motowaka 2015/05/23
    “権限をトップに一元化して、下僚は判断しない代わりに責任もとらないという仕組みの方が「効率的だし、楽でいい」とぼんやり思う人が過半を制したら、市民社会も民主制は長くはもつまい。”
  • 神奈川新聞への寄稿(ロング・ヴァージョン) - 内田樹の研究室

    神奈川新聞に安保法制についての安倍首相の声明の詭弁と嘘について書いた。 もう何度も書いたことなので、書いている人もだんだんうんざりしてきたが、先方が「うんざりさせること」をめざして詭弁を弄している以上、つきあうしかない。 安倍首相の声明は、聞く人、読む人を欺くための作文です。これほど不誠実な政治的文書が公的なものとして通用するということは、それ自体が日国民と日政治文化にとって屈辱的なことだと思います。 安倍首相の言葉は詭弁の典型です。キーワードのすべてが読者の誤読を当てにして選択されている。例えば「日近海」という言葉がそうです。 〈日が攻撃を受ければ、米軍は日を防衛するために力を尽くしてくれる。そして、安保条約の義務をまっとうするため、日近海で適時、適切に警戒、監視の任務に当たっている。私たちのため、その任務に当たる米軍が攻撃を受けても、私たちは日自身への攻撃がなければ、

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    motowaka 2015/05/21
    “ここまで知的に不誠実な政治家が国を支配していることに恐怖を感じない国民の鈍感さに私は恐怖を感じます。”
  • ドイツのあるジャーナリストの日本論 - 内田樹の研究室

    ドイツのある新聞の東京特派員が過去5年間の日の政府と海外メディアの「対立」について記事を書いている。 安倍政権の国際的評価がどのようなものかを知る上では貴重な情報である。 でも、日国民のほとんどは海外メディアが日をどう見ているのかを知らない。 日のメディアがそれを報道しないからである。 しかたがないので、私のような門外漢がドイツの新聞記者の書いたものをボランティアで日語に訳して読まなければならない。 このままでは「日で何が起きているのかを知りたければ、海外のメディアの日関連記事を読む」という傾向は止まらない。 そんなことまで言われても日のジャーナリストは平気なのか。 「ある海外特派員の告白 5年間東京にいた記者からドイツの読者へ」 Carsten Germis さて、荷造りも終わった。ドイツの日刊紙Frankfurter Allgemeine Zeitungの特派員として東

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    motowaka 2015/04/10
  • 2015年の年頭予言 (内田樹の研究室)

    あけましておめでとうございます。 年末には「十大ニュース」、年頭には「今年の予測」をすることにしている(ような気がする)。ときどき忘れているかもしれないが、今年はやります。 今年の日はどうなるのか。 「いいこと」はたぶん何も起こらない。 「悪いこと」はたくさん起こる。 だから、私たちが願うべきは、「悪いこと」がもたらす災禍を最少化することである。 平田オリザさんから大晦日に届いたメールにこう書いてあった。 「私は大学の卒業生たちには、『日は滅びつつあるが、今回の滅びに関しては、できる限り他国に迷惑をかけずに滅んで欲しい』と毎年伝えています。来年一年が、少しでも豊かな後退戦になるように祈るばかりです。」 これから私たちが長期にわたる後退戦を戦うことになるという見通しを私は平田さんはじめ多くの友人たちと共有している。 私たちの国はいま「滅びる」方向に向かっている。 国が滅びることまでは望ん

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    motowaka 2015/01/01
    “この後退戦に「起死回生」や「捲土重来」の秘策はない。”
  • 資本主義末期の国民国家のかたち - 内田樹の研究室

    ●資主義末期の国民国家のかたち ご紹介いただきました内田でございます。肩書、ごらんのとおり、凱風館館長という誰も知らないような任意団体の名前の長を名乗っておりますので、こんなきちんとした学術的な集まりに呼ばれると、いたたまれない気持ちになります。 私は、基的に全ての問題に関して素人でございまして、ですから、おまえのしゃべることには厳密性がないとか、エビデンスがないとか言われても、それはそうだよとしか言いようがありません。ただ、素人には素人の強みがありまして、何を言っても学内的な、学会内部的なバッシングを受けることはない、いくら言ったって素人なんだからいいじゃないかで全部済ませられる。 大学の教師というのは誤答を恐れる傾向がありまして、大風呂敷を広げることについては強い抑制が働く。私はその点で抑制のない人間でございまして、ほんとうは私のような野放図な人間がもう少しいたほうが、世の中、風通

  • 半分あきらめて生きる - 内田樹の研究室

    半分あきらめて生きる 「半分あきらめて生きる」という不思議なお題を頂いた。「あるがままの自己を肯定し、受け入れるためには、上手にあきらめることも必要なのでは。閉塞感漂う現代社会でどう生きていけばいいのか」という寄稿依頼の趣旨が付されていた。 『児童心理』という媒体からのご依頼であるから、不適切な(過大な)自己評価をしている子供たちの自己評価を下方修正させることの効用と、そのための実践的な手順についてのお訊ねなのであろうと思った。 なぜ私にそのような原稿発注があったかというと、ずいぶん前に学校教育について論じた中で、「教師のたいせつな仕事のひとつは子供たちの過大な自己評価を適正なレベルにまで下方修正することにある」と書いたことがあるからである。これはたしかにほんとうの話で、「宇宙飛行士になる」とか「アイドルになる」とか「サッカー選手になる」とかいうことを「将来の夢」として小学生が卒業文集に書

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    motowaka 2014/05/17
  • 大阪大学コミュケーションデザインセンター外部評価報告書 - 内田樹の研究室

    阪大のコミュニケーションデザイン・センター外部評価委員を委嘱された。 平田オリザさんからのご依頼であるので喜んでお引き受けした。 村上陽一郎先生を委員長とする評価委員会の報告書がさきほど届いたので、その中の自分の書いた分だけを採録する。 評価書(内田樹) 1.組織と運営 a.すぐれている点 コミュニケーションデザイン・センターの設立趣旨はたいへんユニークで、かつすぐれたものと評価できる。領域を異にする専門家間の、あるいは専門家と非専門家間のコミュニケーションは、特異な能力を持った媒介者の存在なしには果し得ない。 しかし、この機能を担いうる「架橋する知性」あるいは「トリックスター的知性」を評価する伝統は日の大学には存在しなかった。ひとつには、そのような知性を育てる効率的なプログラムが知られていなかったからであり、ひとつには架橋的な活動を数値的に評価する基準が存在しなかったからである。阪大の

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    motowaka 2014/04/18
    “コミュニケーション能力というのは「円滑にコミュニケーションを進める力」のことではなく、「コミュニケーション失調に陥った状態から立ち直る能力」、「中断している回路を開通させる能力」のこと”
  • 毎日新聞のインタビュー - 内田樹の研究室

    3月5日の毎日新聞朝刊にインタビューが載りました。 お読みでないかたのためにオリジナル原稿をアップしておきます。ちょっと紙面とは文言が変わっているかも知れませんが大意はそのままです。 ー中国韓国との関係改善が進まず、米国も懸念しています。 内田 長い歴史がある隣国であり、これからも100年、200年にわたってつきあっていかなければならないという発想が欠けている。安倍政権は外交を市場における競合他社とのシェア争いと同じように考えているのではないか。韓国中国との「領土の取り合い」と経済競争における「シェアの取り合い」は次元の違う話だということを理解できていないように見える。 昨年12月の靖国神社の参拝も、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移転先の名護市辺野古への埋め立てについて沖縄県知事との話し合いがついた直後に行われた。米国に「貸し」を作ったので、今度は米国が厭がることをする「権利」が発

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    motowaka 2014/03/05
    “今ここにいる自分とは世界観も価値観も生活のしかたも違う「他者」の内側に入り込んで、そこから世界を眺め、世界を生きる想像力こそが教養の本質である。そのような能力を評価する文化が今の日本社会にはない。”
  • 農政について - 内田樹の研究室

    JAの雑誌に農政について書いた。これもふつうの方はあまり手に取る機会のない媒体なので、ここに採録しておく。 糧安保とグローバルビジネス 現在の日の状況をおおづかみに表現すれば、「過経済化」という言葉で形容することができる。 すべての政策や制度の適否が「収益」や「効率」や「費用対効果」という経済用語で論じられている事態のことである。 経済を語るための語彙を経済以外の事象、例えば政治教育や医療のありかたについて用いるのは、用語の「過剰適用」である。 むろん、ある領域の術語やロジックがそれを適用すべきでない分野にまで過剰適用されることは、歴史的には珍しいことではない。過去には宗教の用語がそれを適用すべきではない分野(例えば外交や軍事)に適用されたことがあった(十字軍がそうだ)。政治の用語がそれを適用すべきではない分野(例えば文学)に適用されたことがあった(プロレタリア文学論というのがそうだ

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    motowaka 2014/01/04
    “食糧は供給量があるラインより上にあるときは商品としてふるまうが、ある供給量を切ったときから商品ではなくなる/だから、食糧は何があっても安定的に供給できる手立てを講じておかなければならないのである。”
  • New York Times の特定秘密保護法案衆院通過についての記事 - 内田樹の研究室

    New YorkTimes は11月29日に「秘密保護法案によって日は戦後の平和主義から離脱するのか」という記事を掲載しました。さきほどツイッターに紹介しましたけれど、アメリカでの論調を知って欲しいので、ここに訳出しておきました。やや荒っぽい翻訳ですけれど、新幹線車内での仕事なので、ご容赦ください。 では。どぞ。 街頭でのデモや主要紙の批判的社説を一蹴して、日の保守派の首相安倍晋三は秘密保護法を通過させることによって、彼の国の戦後の平和主義を逆転させることをめざす一連の法整備の第一歩を進めた。 安倍首相によれば、国家機密をより厳正に管理することがアメリカとの国家機密にかかわる軍事情報の共有のためには必要であると語っている。火曜日に衆院を通過したこの法案は近日中に参院でも採択される見通しであり、これは安倍氏の、日を彼の言うところの「ふつうの国」に変えるためのステップの一つである。具体的

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    motowaka 2013/11/30
    “安倍氏の長期計画の最終目的は日本の反戦的な憲法を改訂し、専守防衛型国家を高度の戦闘力を備えた国家に作り替えることにあるのだが、この点についてはいまだ日本国内では合意形成がなされていない。”
  • 特定秘密保護法案について(その3) - 内田樹の研究室

    特定秘密保護法案について、朝日新聞の取材があった。紙面に出るのは話したうちのごく一部になると思うので、これまで書いてきたこと以外のことについて話した部分を追記する。 これまでの話をおさらいしておく。 ・特定秘密保護法案が秋になって突然出てきたのは、5月の「改憲の挫折」に対する「プランB」としてである。 ・改憲による政体の根的な改革が不可能になったので、それを二分割して「解釈改憲による集団的自衛権の行使=憲法九条の事実上の廃絶」と、「特定秘密保護法案によるメディアの威圧=憲法21条の事実上の廃絶」という改憲の「目玉」部分だけを取り出した。 ・改憲は「東アジアの地政学的安定を脅かすリスクがある」せいで、アメリカ中国韓国もステイクホルダーのすべてが否定的だったが、改憲を二分割した場合、「九条廃絶による米軍の軍事行動への加担」にはアメリカが反対せず、「21条廃絶による国内の反政府的言論の抑圧

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    motowaka 2013/11/22
    “一日中ディスプレイに貼り付いて、ネットに国家機密が漏洩していないか、反政府的なコメントが書き込まれていないかをチェックする数十万の「トレーサー」”んー、2ちゃんねらーが「我が世の春が来た」と喜びそう
  • 府教育長の通達について - 内田樹の研究室

    大阪でまた教育現場に「どんより」と暗雲が漂っている。 知らないうちにいつのまにか府教育長になっていた府立和泉高校の「口元校長」が「口元通達」を今度は府立学校全てに発令したのである。 まずは新聞記事から。 「大阪府教委が、入学式や卒業式で教職員が実際に君が代を起立斉唱しているか、管理職が目視で確認し、結果を報告するよう求める通知文を府立学校に出していたことが18日分かった。中原徹府教育長は府立高の校長時代、君が代斉唱時に教職員の口元の動きをチェックし、論議を呼んだ。今回も同様に口元を確認し、徹底を図る方針で、再び議論が起きる可能性がある。 通知は9月4日付。全ての府立高校138校に出され、支援学校全31校にも出す方針。秋入学・秋卒業を取り入れている一部学校で、9月に開かれる卒業式に間に合わせた。 通知文では、「公務に対する府民の信頼を維持する」ことを目的とし、入学式や卒業式での君が代斉唱の際

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    motowaka 2013/09/19
    教委と管理職と保護者からの査定のまなざしに怯えて、自尊感情を失い、創意工夫の機会を奪われている教員たちが、この「鞭」のおかげでどう活気を取り戻すことになるのか。その理路が私にはわからない。
  • 日本のシンガポール化について 実態 (内田樹の研究室)

    「シンガポールに学べ」という論調をよく見かける。 今朝の毎日新聞にもそういう記事が出ていた。 こんな記事である。 シンガポールの高級住宅街に一人の米国人移民が暮らす。ジム・ロジャーズ氏(70)。かつてジョージ・ソロス氏と共にヘッジファンドを設立。10年間で4200%の運用成績を上げたとされる伝説的投資家だ。市場は今もその言動を追う。 「シンガポールは移民国家だからこそ、この40年、世界で最も成功した国となった。移民は国家に活力や知恵、資をもたらす」。プールサイドで日課のフィットネスバイクをこぎながら熱弁をふるう。 シンガポールの人口531万人のうち4割弱が外国人。超富裕層から肉体労働者までさまざまな移民を積極的に受け入れる。少子化にもかかわらず人口は過去10年で100万人以上増えた。1人あたり国内総生産(GDP)は2012年は世界10位。5万ドルを超え、日をしのぐ経済成長を遂げる。「外

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    motowaka 2013/08/20
    「『シンガポール化』という場合には、治安維持法の発令と反政府運動の全面禁止はもちろんセットになっているわけですよ/知らなかった?金もらうだけもらっておいて、いまさら『知らなかった』じゃ通らないですよ」
  • 朝日新聞の「オピニオン」欄に寄稿 - 内田樹の研究室

    朝日新聞の「オピニオン」の5月8日紙面に長いものを寄稿した。 「日の現在地」というお題だったので、次のようなものを書いた。 朝日新聞を取っていない人のためにブログに転載する。 日はこれからどうなるのか。いろいろなところで質問を受ける。 「よいニュースと悪いニュースがある。どちらから聞きたい?」というのがこういう問いに答えるときのひとつの定型である。それではまず悪いニュースから。 それは「国民国家としての日」が解体過程に入ったということである。 国民国家というのは国境線を持ち、常備軍と官僚群を備え、言語や宗教や生活習慣や伝統文化を共有する国民たちがそこに帰属意識を持っている共同体のことである。平たく言えば、国民を暴力や収奪から保護し、誰も飢えることがないように気配りすることを政府がその第一の存在理由とする政体である。言い換えると、自分のところ以外の国が侵略されたり、植民地化されたり、飢

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    motowaka 2013/05/08
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