この連載では、米国ビジネススクールで助教授を務める筆者が、海外の経営学の最新動向について紹介していきます。 さて、私は昨年11月に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』(英治出版)という本を刊行したのですが、そこで大きな反響をいただいた話題の1つが、「米国とアジア各国などのあいだで『超国家コミュニティー』とでも呼ぶべきものが出現しつつあり、それが各国の起業活動の活性化や国際化に寄与している」というものでした。 知識はインフォーマルなものこそ重要 起業家が一定の地域に集積する傾向があることは、経営学ではよく知られています。米国ならシリコンバレーがその代表です。なぜなら、起業をするには、人と人が直接会うことを通じてしか得られない「インフォーマルな情報・知識」がとても重要だからです。文書のやりとりでは出てこないような「内輪の話」を得るために、起業家はシリコンバレーなどに集積するのです。 「今