私たちは思う。たかだか人口6万の名護市の市長選挙で、在沖海兵隊の新基地建設問題が問われることの不条理を。政府民主党は選挙時の公約に従い県外移設を早く決定すべきだ。現行案を残した「見直し」というのは、現行案に舞い戻る可能性を高く残している。その私たちの思いに、比嘉鉄也氏は上手に棹差して自らを善玉に仕立て上げる。 簡単に図式化する。1997年は日本政府は悪玉で、必死に抵抗する名護市民は善玉だった。市民投票時の条件付賛成派は悪代官か「お前も悪よのぉ」の越後屋であった。悪代官は破れ、市民投票では「反対」が過半数を上回った。 破れた悪代官は、自らを代官にした市民の前ではなく、悪玉政府首相の前で恭順の意を表しつつ、自ら腹を切ってみせた。ときの首相の橋本龍太郎は涙を浮かべたという。 悪代官の名は比嘉鉄也。 つまらん浪花節だが、物語はつながった。比嘉鉄也氏が辞任したことで行なわれた1998年の市長選挙は、