・災害ユートピア―なぜそのとき特別な共同体が立ち上るのか 大爆発、大震災、大洪水、テロ。大災害が発生した直後には、必ず人々の助け合いのコミュニティが出現する。無償の愛で困っている人を助け、絶望している人を励ます。普段は眠っていた人々の創造性が発揮される。その特別なコミュニティのことを著者は災害ユートピアと呼ぶ。 サンフランシスコ大地震、ハリファックスの大爆発、ロンドン大空襲、メキシコシティ大地震、9.11同時多発テロ、ハリケーン・カトリーナ...。歴史的な大災害やテロの直後に生成された災害ユートピア事例を研究し、なぜ人々は地獄のような光景の中にユートピアを作りだせるのか。そして、なぜそうしたコミュニティが永続せず、つかの間のパラダイスに終わってしまうのかを探究する。 現実の大きな災害直後の市民の特徴は冷静沈着だ。パニックになる確率はゼロに近い。人々は混乱のさなかにも、冷静に救助活動を開始し