心と体の性の不一致に苦しむ性同一性障害の人たちが自殺を図ったり自傷行為をしたりする率が、リーマン・ショックで世界経済が落ち込んだ08年以降、それまでの下降から上昇に転じ、社会的な認知が進む以前のレベルに逆戻りしていることが、岡山大の調査で分かった。性同一性障害の悩みに加え、誤解や偏見からリストラの対象にされやすいなどの経済的な要因が追い打ちをかけているとみられる。 岡山大病院は、性同一性障害に関する国内最大の医療拠点。調査は、院内にジェンダークリニックが開設された98年から昨年までの14年間に受診した1452人を対象に初診時、自殺未遂や自傷行為などの有無を尋ねた。 自殺未遂や自傷は、クリニック開設翌年の99年には50%が経験していたが、戸籍上の性別変更を認める特例法が03年に制定されると、翌04年から下降傾向に転じ、07年には9.9%まで低下。だが、経済状況の悪化を受け、08年から再び