陸上自衛隊真駒内駐屯地(札幌市南区)で訓練中に1等陸士の長男が死亡したのは上司が安全配慮を怠ったためとして、両親が国を相手取り約9200万円の損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁は29日、国に約6500万円の支払いを命じた。石橋俊一裁判長は「指導教官は、安全に配慮し事故を防止する注意義務に違反する過失があった」と述べた。 判決によると沖縄市出身の島袋英吉(しまぶく・ひでよし)さん(当時20歳)は06年11月21日、真駒内駐屯地の体育館で先輩の3曹、陸士長と素手で戦う「徒手格闘」の訓練中、陸士長に投げ技をかけられ頭を強打。翌日に外傷性硬膜下血腫で死亡した。 石橋裁判長は、島袋さんが受け身の訓練を3回しかしたことがなく、投げ技をかけると頭を強く打つ危険性を予見できたのに、指導教官の3曹が攻撃に対する「投げ返し」を陸士長に行わせたことが注意義務違反に当たると認定した。 一方、両親側が主張した「