三重県伊勢市の伊勢神宮内宮で2日、これまでの正殿から新しく造営した正殿にご神体八咫鏡(やたのかがみ)を移す「遷御の儀」が行われた。1300年以上の歴史を持つ伝統的な祭りで、20年ごとに社殿を造り替える「式年遷宮」は、クライマックスを迎えた。 午後8時前、すべての照明が消され、天の岩戸が開いた故事にならい、神職が夜明けを告げる鶏の鳴き声を模した「カケコー」の声を3度上げて儀式が始まった。 同8時ちょうどに天皇陛下の使いである勅使が「出御(しゅつぎょ)」と3回唱える。これを合図に、ご神体をささげ持った大宮司らが白い絹布で囲った「絹垣(きんがい)」の中に。 たいまつの火が暗闇を照らす中、百数十人の神職らからなる遷御の列は楽師の演奏に合わせ、約40分かけて旧正殿の西隣に建てられた新正殿へと移動した。神社関係者ら約3000人の奉拝者は、絹垣の中をご神体が移り行くシルエットを静かに見守った。