「アジア旋回」を宣言した米国と、国内総生産(GDP)世界一を視界に捉え、経済的影響力を増している中国との“綱引き”により、アジア諸国が「開国」を迫られようとしている。地域経済のダイナミズムに自らを組み込むために、もしくは大国の横暴を「自由の輪」で封じるために。いずれにしても、アジアの多くの国が自らを閉ざしていられない時代を迎える。 守るべき国内市場と産業が大きければ大きいほど「開国」のリスクは高まる。失うものの小さいアジアの新興諸国にとって、GDP世界上位3カ国である米・中・日が参加する何らかの自由貿易の枠組みに参加することには大きなメリットがある。小国であればあるほど有利に見える。 だが、その理屈は、現実を前には机上の空論とのそしりをまぬかれないだろう。失う可能性のあるものを単純に量で比べれば、確かに大国の方が大きい。しかし、失うものの価値は国によって異なる。小さなものでも、自国発展のた