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昨年末、「イスラーム国」(IS)から西部のラマディを奪回して勝利の報に酔いしれたイラクのアバーディ首相だが、今年一月、思わぬ敵に直面している。イラクの真ん中を流れるチグリス川上流の、モースル・ダムが決壊寸前の状態にあるからだ。このダムが崩壊したら、4時間でモースルは水没し、増水した川は1日以内でティクリートを、2日でバグダードを襲う。首都ではバグダード国際空港やサドル・シティーなどは被害を免れそうだが、都市の中心部のほとんどが冠水すると推測されている。その結果、最悪の場合には50万人が死亡し、100万人以上が家を追われるという。イラク戦争にも匹敵する、アルカーイダやISや宗派対立による内戦などの被害をはるかに超えた大参事になるのでは、と恐れられているのだ。 何故、ダムが決壊の危機に至っているのか。1984年に建設されたモースル・ダムは、もともと老朽化していたが、イラク戦争後も2014年まで
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