「ファストフード店で注文する際に、自分自身で食べたいものを決めている自信はありますか?」――そんなことを唐突に聞かれたら、おそらく大半の人が「そんなこと、考えたことすらなかった」と回答するだろう。 では、なぜ今回このような問いを投げたのか。それは、消費者がファストフード店で行う購買選択が、実は企業にそっと誘導された結果によるものかもしれないからだ。 東京大学大学院で行動経済学を教える阿部誠教授はファストフード店のメニュー選びにおいて、消費者は「企業が購入してほしい商品」を無意識的に選択している可能性があると指摘する。なぜそのような事象が発生するのか? ファストフードのメニュー表に張り巡らされた“仕掛け”を行動経済学の観点から読み解いていこう。 意図的に設計された「読みづらいメニュー表」 無意識的な購買選択を引き起こす要因として阿部氏は「ファストフード店のメニュー表は、企業が売りたい商品を販