切通理作の著書を読むのは久しぶり。自身の失恋体験の回想を軸に、失恋の考察、失恋に関連する作品の紹介を組み合わせた本。まぁ、こういうものを読むと、当然、自分の体験を思い出したりするわけですが、ここには書きません。ええ、書いたりしませんとも。 “論”と呼ぶには、グズグズな展開になっている。失恋を回想するうちに、感情がたかぶったりしちゃったんだろうなぁ、と想像される。そのぶん、生身のリアリティは伝わってくる。理路整然と冷静に失恋を語られちゃっても、逆にそんなもん、信用できないわけだし。 章の終りごとに「失恋図書館」というコーナーが挿入され、本書のテーマと関係のある小説・映画・マンガ・ドラマなどへの論評が並ぶ。切通らしく特撮映画を取り上げたかと思えば、硬めの評論にも言及するといったぐあいに、ヴァラエティをもたせている。 ところが、第四章の最後では、魚喃キリコの作品ばかり並んでいて、なんだかえらくバ