「教育困難校」という言葉をご存知だろうか。さまざまな背景や問題を抱えた子どもが集まり、教育活動が成立しない高校のことだ。 大学受験は社会の関心を集めるものの、高校受験は、人生にとっての意味の大きさに反して、あまり注目されていない。しかし、この高校受験こそ、実は人生前半の最大の分岐点という意味を持つものである。 高校という学校段階は、子どものもつ学力、家庭環境等の「格差」が改善される場ではなく、加速される場になってしまっているというのが現実だ。本連載では、「教育困難校」の実態について、現場での経験を踏まえ、お伝えしていく。 ■授業開始のチャイムが鳴っても… 「こら~! 教室に入れ!」 「教育困難校」の授業は、教師のこの声から始まる。チャイムが鳴っても、廊下にたむろしている生徒に向けられる言葉だ。座り込んでまったく動こうとしない生徒を、腕を取って床から引きはがそうとする教師に、「あっ