しつこく湯気ばかりをねらっている巨匠は、温度の低いほうが湯気が出やすいので、冷え込みっぱなしのお天気ぐあいがありがたいというのも勝手なもの。それに対抗して、私のほうは、この季節に丸大根のスープを究めておこうと、せっせと丸大根をきざんでいます。 丸大根は、名前のとおり大根の仲間ですから、匂いも味も大根そのものなのですけど、スープにしたときの舌ざわりはカブに近くて、とてもおいしいスープになるので、大好きなのです。 しかも、カブのばあいは、うす切りにしてバターをちょっと落としたお湯で煮たものをミキサーにかけ、シノワで漉すのですけど、かなり繊維が残ります。それに比べると、丸大根はほとんどがすっとシノワを通って、なめらかなスープができます。 この丸大根のスープは、なにも味を加えないのがよいと思うので、たいていは、パプリカの缶をひと振りふた振りして、このスパイスだけで味わうのが、私にはいちばん。 こう