アルジェリアにおけるインフォーマル経済の形態は、闇市場や非公認の事業主という形態から近代的な産業部門内部での雇用形態と、時代に応じて多様に変化してきた。本稿では、アルジェリアのインフォーマル経済が拡大した要因として、独立後に築かれた中央集権的な計画経済および1980年代の輸入抑制政策、1990年代の経済自由化にかかる規制緩和と治安悪化による市場管理の不在が関連していると整理した。さらに近年では「アラブの春」の浸透を危惧したアルジェリア政府が失業や賃金格差といった国民の不満吸収を目的に政治経済改革を打ち立てたが、これらの政策はかえって無認可の零細・小規模事業主への風当たりを強くする結果を招いている。本稿は、アルジェリアのインフォーマル経済が独立後の政治経済状況の変化に適応しながらいかに多様化し拡大してきたかを論じるとともに、こうした政策が街頭や市場でみられる無認可の零細・小規模事業主にもたら