○ 2010.05 虚空蔵堂(神奈川県鎌倉市) 四月の終わりに、そう、色川武大の死、青木伊平の死、メジロランバダの天皇賞出走、桂枝雀の死、祖母の死、輝ける私の四月の歴史に志村貴子「青い花」の読了が加わる。 飲酒も麻雀も馬券も止め、映画も昔ほど見なくなり、会社と自室を往き来するだけの生活となる。つまらないひとね、と言われれば、黙ってうなづくより他なく、それどころか、つまらないひとねと言ってくる者すらいない有り様で、無価値の生活である。そのような私のもとに杉本先輩がやってきた。「青い花」である。私の来し方において、それまでの価値や嗜好を変えうるもの、すなわち中学生の頃に同じクラスの者にカセットテープに落としてもらったstingの「nothing like the sun」や高校時代におけるダイヤモンド映像、就職してからの山内健司のショウリール、それらに匹敵する輝きが薄闇にうずくまる私に差し込ん