■はじめに 『歴史/修正主義』(思考のフロンティア:岩波書店・2001年1月26日発行)を批判する。著者の高橋哲哉 さんは、今までも<戦争犯罪>や<戦時体制化の暴力>を思想的にどう把握し、戦争後の世代が、 <戦争による暴力や迫害>に対して、今生きている時間の中でどのような行動を取るべきかについてラディカル な思索を展開しておられる。また、高橋さんはジャック・デリダ(1930年~)の研究者としても知られている。 私は哲学の門外漢であり、<高橋哲哉>や『歴史/修正主義』を内在的に分析し、それを<脱構築>する ことなど端からできるはずもない。しかし、『歴史/修正主義』の論理には少なからず驚愕し、義憤を感じた。 哲学の素人を専門的な言辞で翻弄し、もって、それほど根拠のあることとは思えない結論を素人に押し付ける、 そのあまりの無神経さと専門家的な傲慢さとにである。もっとも、これは、専