初値が公募価格を上回るのは、 本当は失敗かもしれない 手元にある4月6日の日経新聞夕刊の新興市場チェックのコーナーでこういう表現がある。「ソケッツ初値、公募価格上回る。新年度、上々の滑り出し」。この見出しからは、初値が公募価格を上回ることが上場の成功であることがうかがえる。 これは、神戸大学の忽那教授が著書の『IPO市場の価格形成』の「はじめに」でも指摘していることであるが、初値が公募価格を上回ったということは、実はその会社の公募価格はもっと高く設定できたということの裏返しでもあり、企業にしてみると「より多くの資金調達ができたはずなのにし損なった」とも言える。 初値が公募価格を上回るというのは、公募価格の値付けに失敗したとさえ言えなくもない。 しかし、初値が公募価格を上回れば企業は喜ぶし、企業が喜べば主幹事証券会社もハッピーである。公募株を購入した投資家は、1日で大きな利益を稼ぐこ