経済格差の拡大を背景に定住地を持たないホームレスが増え続ける米国で、2013年までの8年間でホームレスを7割以上も減らした西部ユタ州の取り組みが注目を集めている。州政府が専用住宅をつくり、無条件・無償で入居させた。州財政を圧迫してきた緊急医療や犯罪対策にかかる歳出削減にもつながった。「初めて聞いた時は嘘だと思った。部屋に入るまで信じられなかった」。アルコール依存症を理由に同居していた娘から家を
東京都渋谷区の区立宮下公園で昨年末、年越しのため支援団体とともにテント生活をしていたホームレスが、区から強制的に閉め出された。六日、区に抗議に訪れた支援者からは「福祉の窓口が開いていない年末年始、極寒の中に放り出すのは殺人行為に等しい」と怒りの声が上がった。 閉め出されたのは、区内で野宿者を支援する「渋谷越年・越冬闘争実行委員会」のメンバーとホームレス約二十人。十二月二十九日午後八時半ごろ、区職員から公園閉鎖時間の午後十時半までに荷物をまとめて退去するよう命じられ、翌日未明にかけ警察官に囲まれ、荷物を残したまま追い出された。年末で仕事がなく食べ物が確保できない人や、けがで支援が必要な人など五人が集まっていた。 宮下公園は二〇一一年四月から夜間は施錠されて入ることができないため、通常は野宿者がいないが、役所の窓口が閉まった昨年十二月二十八日から、支援のためのテントを設営していた。閉め出し後、
古都・京都の玄関口のJR京都駅(京都市下京区)で、新幹線側出口(八条口)の市有地にホームレス1~2人が居座り、排泄(はいせつ)行為などで迷惑をまき散らしている。清掃を委託されたJR東海が汚物の処理を行っているが、同社の改善要請や利用客からの相次ぐ苦情にも、同市が対策を取れない状態が続いている。場所は駅の構内で、修学旅行生や団体客が集合するスペースと目と鼻の先。多くの観光客が新幹線で京都を訪れる大型連休を前に、年間5千万人が訪れる観光都市のイメージダウンが懸念される。顔をしかめる悪臭 京都市内で満開を迎えた桜を散らす雨が降った4月2日夜。京都駅の南北自由通路の南端の八条口に面した出入り口付近は鼻を突く悪臭が漂っていた。 雨に流されても、地面からは小便独特の臭いが消えない。壁際にはポリ袋や毛布に体をうずめて高齢の男性が寝そべっていた。そこは修学旅行生や団体客が集合するスペースの、目と鼻の先だ。
東京都のホームレス(路上生活者)の人数が、大阪府を抜き、2672人と全国で最多となったことが15日、厚生労働省の全国調査で明らかになった。全国の総数は1万890人で、前年比17%減。平成15年の調査開始以来、減少傾向が続いている。 厚労省によると、調査は今年1月、全国の市町村職員が公園や河川、路上、駅舎などを巡回して目視で確認した人数を集計した。 都道府県別では東京都が最多で2672人。次いで大阪府が2500人。神奈川県(1685人)、愛知県(644人)、埼玉県(497人)が続いた。 前年トップの大阪府は3338人から25%減。東京都も3125人から15%減らしたが、大阪の下げ幅が大幅に上回った。 大阪府の担当者は「月に1度の巡回を行うなどして、『畳に上がって欲しい』と訴え、支援を続けてきた結果」と調査結果を歓迎。一方の東京都は「人口が多いのだから自然。東京も減っている」とした。 全体の内
国の緊急雇用対策の一環として各自治体が実施した、失業者らへの「年越し支援」の費用総額が、概算で8億円弱にのぼることが10日わかった。このうち東京都が実施した「官製派遣村」の費用は約1億8千万円。事業にかかった費用は国の補助金でまかなわれる見込みだ。 厚生労働省によると、生活相談など年末年始に何らかの失業者対策を実施したのは194自治体。このうち宿泊施設を用意するなどした35自治体が10日までに、国に対して計約7億6千万円の補助金の交付を申請した。国は内容を精査した上で今月中旬までに交付決定をする方針。 最も大規模に年越し支援をした東京都の費用は、失業者860人が宿泊した国立オリンピック記念青少年総合センターの施設使用料や食費、相談業務を担った社会福祉法人への委託費など。当初500人程度の規模で約9千万円を見込んでいたが、想定より利用が多く事業費が膨らんだ。 東京都以外では、緊急一時宿
「公設派遣村」退去期限都や厚労省の職員から退去についての説明を受ける入所者ら=東京都渋谷区の国立オリンピック青少年総合センター、1月4日午前(鈴木健児撮影) 年末年始に住居がない失業者に宿泊場所や食事を提供する東京都の「公設派遣村」が18日朝、2週間の延長を経て“廃村”される。これまで就活費の目的外使用や施設内での盗みなど、信じられないような事態が次々と明らかになり、15日には所在不明者111人が一度に退所処分となった。石原慎太郎都知事は記者会見で、「全員とは言わないが身勝手な入所者がかなりいる。(次回は)国が自分の責任でやったらいい」と見切りを付けた。今季の派遣村は運営方法のあり方だけでなく、その存在意義にも議論が及んでいる。 壮大なあら探し? 東京都が実施する今回の公設派遣村のきっかけを作った昨冬の年越し派遣村。その元村長で内閣府参与の湯浅誠氏が15日付の「都政新報」に派遣村に否定的な
昨冬の「年越し派遣村」の元村長で、内閣府参与として今回の貧困者対策を担当した湯浅誠氏は4日、厚生労働省で記者会見し、今年度の「公設派遣村」について「今年は行政が主体となったため、より多くの人を救うことができたと思う。公的なシェルターを運営することで、これまで見えなかった生活困窮者の実態が分かり、より具体的な対策につながる」と述べた。 公設派遣村に集まった失業者については、「昨年に比べ、より若い失業者が増えており、雇用不安が若い層にも広がっていることを実感した」。また、東京都は今回、24時間体制で相談を受け付けるフリーダイヤルを設置したが、「多くの人が、その電話で公設派遣村にたどり着けた。福祉相談の窓口として、恒常的なサービスにつなげてほしい」と述べた。 今後の課題については、「住宅のない人が多く、改めて住宅の施策が必要だと感じた。福祉は自治体の負担だが、国がサポートすることも検討してよいの
「不平を言えば融通が利く。みんな“ごね得”だと気付いている」。4日閉所した東京都の「公設派遣村」を出た男性(34)は“村”での生活をこう皮肉った。派遣村では開所以来、行政側と入所者の衝突が絶え間なく続いた。職員の口のきき方への不満に始まり、昼食代の現金支給を求める入所者…。当初、目的だったはずの就職相談は不調に終わり、職員は最後まで入所者への対応に右往左往した。 ■就労相談わずか1割 都は3日夜、この日退所した833人のうち住居を見つけられなかった685人のため、4日以降の新たな宿泊先に400人分のカプセルホテルを用意。残りの入所者には、都の臨時宿泊施設を割り振ることを決めた。 だが、いざこざはここでも起きた。入所者の1人は冷笑を浮かべて言う。 「その夜も『なぜ全員がホテルに入れないのか』と騒いだら泊まれることになった」 入所者の抗議と厚労省などの後押しで、都は決定を覆す。抗議の数時間後に
【from Editor】やっぱり、派遣村の何だかなぁ (1/2ページ) 2009.7.13 08:05 今年の新語・流行語大賞にノミネートされるだろう『年越し派遣村』の実行委員会が6月30日で解散した。半年の節目を迎えたことと、村民らの生活が落ち着いてきたためという。 東京・日比谷公園に忽然(こつぜん)と出現した失業者らの集落は、昨秋以降の急激な雇用調整、とりわけ派遣切りの深刻さを可視化させた。 しかし、村を取材して多くの違和感を覚えたのも事実。そんな思いを1月当時、「本当に村民たち全員が、働く意欲があるのだろうか。取材すると『何だかなぁ』と思うことがある」と書いたところ、多くの反響をいただいた。 「生活苦は自己責任。アリとキリギリスの寓話(ぐうわ)みたいなもの」といった同感がある一方、「生活苦を強いる社会が悪い」という反発も強かった。貧困の原因に「自己責任」を重視するか、「社会要因」
支援団体の炊き出しには連日長い人の列ができる。不況の波はホームレスの人々の生計を直撃している=2月上旬、東京都内(吉原知也撮影) 非正規労働者の契約打ち切りや雇い止めが問題となるなか、不況の波は路上生活者の生計も直撃している。空き缶拾いは北京五輪後のアルミ価格の暴落に直面。出版不況のなか、摘発強化も相まって、古雑誌集めもままならない状況だ。業者から雇われ、店の行列に並ぶ仕事も減った。「ホームレス経済」の深刻な現状を、東京都内で追った。(桜井紀雄、吉原知也) ≪五輪後低迷≫ 「アルミ缶の値段は下がり続け、生活が苦しい」。新宿の公園で寝泊まりしている高橋正悟さん(58)=仮名=はそう話す。 職を転々とするうちホームレスになり1年半。空き缶拾いで生計を立てる。公園近くに業者が週3回アルミ缶を回収にくるため、夜通し3日かけて路上やゴミ箱の缶を集める。60キロを集め約2000円を受け取るという。 こ
東京・上野公園でテントを張って生活するホームレスの人たちが高齢化し、厳しい冬を迎えている。自立支援センターに入所するなどして、全体では二年ほど前の三百人超から約六十人に減ったが、高齢のホームレスは、そうしたセーフティーネットからこぼれやすい。師走の公園で、ブルーシートで寒さをしのぐお年寄りの姿を見た。 (出田阿生) 五年ほど前からテント生活を送る小林国夫さん(67)は先週、交通事故に遭い、頭を二針縫うけがをした。目が悪い上に年齢のせいで歩くのが遅く、赤信号に変わった横断歩道で車にはねられた。 北海道出身。上京し工事現場で働いていたが、持病のぜんそくなどで働けなくなり、ホームレスになった。額の縫い目は生々しく、足は打撲傷で紫に変色している。「こんな足だから歩けなくて」と弱々しく笑った。
強制保護、是か非か ホームレス凍死相次ぐ仏で論争2008年12月1日17時34分印刷ソーシャルブックマーク 【パリ=飯竹恒一】厳冬が訪れたフランスでホームレスの凍死が11月、首都圏だけで6人に達し、その対策を巡り論争が起きている。強制的に施設に保護する案が政府内で浮上したが、「個人の自由を奪う」と市民団体が反発し、撤回に追い込まれた。 6人目は55歳の男性でパリ中心部で28日朝見つかった。これに先立つ26日、サルコジ大統領は「死なせないのは政府の責任、義務だ」と表明。ブタン住宅都市問題相は「気温が零下6度を下回った際に強制的に施設に入れる策」に言及した。 これが「混雑した施設で盗難や暴力の危険を恐れるよりも外で寝た方が良いと考える人もいる」などとする市民団体の猛反発を招き、フィヨン首相が27日、強制の方針がないことを表明した。ただ、サルコジ氏はその後も「まず施設を見て、気に入らなければ出て
米国発の金融危機は実体経済に波及して世界同時不況です。一過性でなさそうなのが厄介ですが、危機こそ人間が試される時、腰を据えなければ−です。 リストラや企業の惨憺(さんたん)たる中間決算、暗い事件の連続といったニュースのなかで、沈みがちな気分をちょっと明るくさせてくれたのが特定非営利活動法人(NPO法人)「自立生活サポートセンター・もやい」(湯浅誠事務局長)のホームページでした。
大阪市北区の扇町公園でテント生活をしているホームレスの男性が公園を住所とした転居届を不受理とした処分の取り消しを区長に求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(津野修裁判長)は3日、男性の上告を棄却した。公園を住所とした住民登録を認めた1審判決を取り消し、原告逆転敗訴とした2審・大阪高裁判決が確定した。公園に居住するホームレスの住民登録をめぐり、最高裁が判断を示したのは初めて。 判決は「都市公園内に不法に設置されたテントの所在地」について、「社会通念上、生活の本拠としての実体を備えているとはいえない」と判断、公園に住所があるとはいえない、と結論づけた。 原告の山内勇志さん(58)は平成12年ごろから公園にテントを設置して生活、16年3月に公園を住所とする転居届を区役所に提出したが受理されなかった。 1審の大阪地裁は、山内さんがテントで日常生活を送っていることなどを踏まえ、「生活の本拠とし
スポーツ用品大手のナイキジャパンが、東京・渋谷にある宮下公園のリニューアルに意欲を見せている。既に公園の命名権買い取りを区側に打診。区議会で承認され次第、本年度中に改修に着手し、レジャー・スポーツ施設化を目指す。しかし「施錠し夜間は人の出入りを締め出す」との方針で、反発の声も出ている。 宮下公園は1階が駐車場、コンクリートの上に土盛りした2階部分に樹木を配した独特の“空中庭園”スタイルが特徴。山手線と明治通りに挟まれた縦長型で、庭園部分は約1万800平方メートル。渋谷駅から徒歩約5分。公園内にスケートボード場やオープンカフェなどを新設する計画だ。 一方、宮下公園に寝泊まりするホームレスの支援者らによる「みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会」が、区の担当者に説明を求めたところ「公園を柵で覆い、夜間は施錠する」と告げられた。守る会のメンバーは「利用者がスポーツ愛好家に限られ、行き場のな
図書館にも女性専用席 ホームレス対策…「不公平」の声も 東京都内の図書館で、女性専用・優先席を設ける動きが広がっている。現在のところ、23区内220館のうち8館で実施。女性専用車両の痴漢対策というよりは、主な理由がホームレス対策だ。「安心して使える」「使いやすくなった」と歓迎する女性の声もあるが、男性からは「不公平だ」との声もある。(安岡一成) ■苦肉の策 台東区の中央図書館。今年4月からフロアの一角に設けられた「女性専用席」に女性が2人腰掛け、料理雑誌を読んでいた。周りの棚にはファッションや子育てなどの女性向け雑誌が並ぶ。いつも利用しているという主婦は(58)「ホームレスがいっぱいで利用しづらかったから、女性専用席は悲願だった。おかげで落ち着いて読めるようになった」と話す。 台東・荒川の両区には日雇い労働者やホームレスが多く滞在する通称・山谷(さんや)地区がまたがる。雨天や暑さ寒さが厳し
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