“農業業界”の誰もが驚く万歳会長の辞任意向表明は、政府の農協改革案に逆らいきれなかった「敗北」の責任を取ったと見るメディアが多いようです。ご本人もそう思っておられるのかも知れませんが、本当に万歳会長は敗北したのでしょうか? 「改革の常識」を疑ってみる シカゴ大学の若手経済学者、スティーブン・レヴィットらが書いた『ヤバい経済学』(東洋経済新報社)という本があります。日常生活から裏社会までこの世の問題を、経済学的アプローチの1つである「インセンティブ」で説明しようとする本です。この本が面白いのは、様々な通説を経済学的アプローチでひっくり返すところにあります。 1990年代にアメリカのティーンエイジャーの犯罪発生率が下がったのは、景気が上向いたからでも、銃規制などの犯罪抑止策がすすんだからでもなく、20年前に中絶が合法化されたからだといった、通説に反するユニークな分析が書かれています。 巷には「