内山節氏の哲学塾(上)日本的精神について 本誌は直接的には、いかにしたら地方が元気になるかをテーマにしている地域づくり雑誌である。地域づくりとは何かを追究していけば、必然的に地方、地域、集落、地域共同体、ローカルな世界の持つ意味や可能性について考えざるを得ない。なぜ、かくまで地域にこだわるのかといえば、現代の閉塞感を克服するには、都市ではなく、ローカルな世界から生まれてくる思想に頼らなければならないのではないかと、漠然と想像しているからだ。 この漠然としたものに、いつもくっきりと輪郭を与えてくれるのは内山哲学である。そして、本誌のやっている仕事もあながち無駄ではないんだなと元気づけてくれるのも内山哲学である。 5月のある日、東京・四谷の居酒屋に内山節氏を迎えて開催された哲学塾のテーマは、「日本的精神について」だった。都会の漂流者にとって、大変示唆に富んだ講義であった。参加した人々だけではも