エコとは言えない企業が「エコ商品」で儲けまくる──かつて経済合理性を生かした環境対策として注目された排出権取引が、そんな皮肉な状況を生んでいることが明らかになってきた。 インド南部タミルナド州に拠点を置く化学品会社ケムプラスト・サンマーがいい例だ。数十年前から冷媒ガスや溶剤、ポリ塩化ビニルを生産してきたが、実はもう1つ目に見えない「商品」がある。炭素クレジットだ。 これは温室効果ガスの削減量を示す取引単位で、1単位はCO2排出量1トン分に相当する。欧米の企業は排出量の基準を守るために、主に途上国の企業が削減した分を買い取って補う。その取引額は世界で数千億㌦規模に拡大。ケムプラストだけでも年間1000万ドルに達する。 しかしこれは、エコではない企業を甘やかす制度だと批判する声もある。今でこそケムプラストはクリーン操業が売りだが、長年にわたって工場排水を川に垂れ流していた。09年9月以降は1滴
国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)の交渉の焦点は、温室効果ガス排出削減を巡る先進国と途上国との考え方の溝が埋まるか、また2012年で第一約束期間が終了する京都議定書に替わる新たな枠組みに道筋がつくのか――ということだった。 「京都議定書では途上国に法的な削減義務が課されておらず、米国も脱退していて、世界全体の排出量の27%をカバーするに過ぎない。途上国からの排出増加が急増する将来を考えれば、地球温暖化問題の真の解決策とはならない」──。会議冒頭から、日本政府はこうした論理で、第二約束期間での削減義務の設定(いわゆる「京都議定書延長論」)を強く拒否する発言を行った。日本政府の断定的なトーンに対して、発言直後には京都議定書延長論を唱える途上国や環境NGO(非政府組織)は強く反発。EU(欧州連合)も、日本は最終的には折れると踏んでいたこともあってか、驚きのあまり、会議を壊すの
国際的な海運と航空から排出される温室効果ガスは、経済のグローバル化に伴って近年、増加を続けている。ところがいずれも、京都議定書のうえでは各国の排出数量の対象とはなっておらず、それぞれを監督する国際機関を通じて排出の抑制、削減に努めることになっている。これは、山口光恒・東京大学特任教授の最近の連載コラムでも触れているとおりだ(山口光恒「地球温暖化 日本の戦略」国際海運におけるセクトラルアプローチ[ 前編 ][ 後編 ])。 そんななか、EU(欧州連合)が航空機からの温室効果ガス排出抑制を進めようとしている。その方法を巡り、米国の主要航空会社が欧州で訴訟を行う事態になっている。 EUが進めようとしている政策を分析すると、航空業界の温室効果ガス排出抑制という大義名分をテコに自地域が進める欧州排出量取引制度(EU ETS)を世界、特に米国に広め、グローバルスタンダードにしたいとの野望が見えてくる。
先日、中央環境審議会地球環境部会中長期ロードマップ小委員会に出席する機会を得た。中長期ロードマップ小委員会とは、温室効果ガス(GHG)排出量を2020年までに1990年レベルから25%削減するという中期目標と、2050年までに1990年レベルから80%削減するという長期目標を達成するための行程を明らかにし、より望ましい達成方法を探索していく場ということができる。ここでいう「望ましい達成方法」とは、従来は、環境効果、効率性、公平性が評価基準とされていたが、近年は、雇用効果や持続可能性も重視されるようになり、より多くの次元の尺度から評価されるようになった。 このことは、環境問題を考える際のパラダイムが転換してきたことと関連している。すなわち、環境対策を講じることは、経済に対して負の影響を及ぼし、国民にとっては負担が増えると長らく考えられてきたのに対して、むしろ、環境対策を取ることが新しい産業や
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鳩山由紀夫首相は就任直後の9月22日に国連の気候変動首脳会合で演説。地球温暖化への対応策として「2020年に日本は1990年比でCO2排出量を25%削減する」と明言した。合計で世界の総排出量の4割を占める米国と中国が同様の大胆な目標を掲げる気配はまだなく、日本だけが突出した国際公約を掲げて自らを縛った格好だ。 今、問題になっているのは、この目標を達成できる現実的な可能性と、そのためにはどれだけの負担が必要になるかということ。1世帯当たり年間数十万円の負担増になり、企業の国際競争力も大きく削がれるという見方もある。そもそも、鳩山政権が掲げた数値目標はどのようなプロセスと根拠の下に策定されたのか――。 櫻井よしこ氏が理事長を務める財団法人、国家基本問題研究所は10月20日に「CO2 25%削減は可能か」と銘打ったシンポジウムを開催した。地球温暖化対策基本法案の提案者の1人である前田武志・民主党
民主・鳩山代表のスピーチ全文 地球環境フォーラム2009年9月7日13時41分 印刷 ソーシャルブックマーク 民主党の鳩山代表が7日、朝日新聞社主催の「朝日地球環境フォーラム2009」で行ったスピーチの全文は次の通り。 民主党代表の鳩山由紀夫です。 本日は、「朝日地球環境フォーラム2009」にお招きいただきまして、誠にありがとうございます。 イボ・デブア国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局長、ラジェンドラ・パチャウリ気候変動に関する政府間パネル(IPCC)議長、ビョルン・スティグソン持続可能な発展のための世界経済人会議(WBCSD)事務総長をはじめとする、内外のオピニオンリーダーが多く参加され、今日、明日と2日間にわたって、焦眉の地球環境問題、とりわけ気候変動問題について議論をされるということに、非常に期待しております。 さて、先の衆議院総選挙におきまして、多くの国民の皆様の勇気あ
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