民主主義国家が、こうした緊急、明白、十分に理にかなった要求に応えず、ナンセンスな財政健全化の原理を優先するなら、正当性を喪失してしまうのも不思議ではない。国家による自殺行為だ。 ドイツの政権与党SPD(ドイツ社会民主党)は、バイエルン州とヘッセン州の地方選挙で大敗した。この大敗は、今のドイツを覆っている雰囲気を示している。ドイツの各地域には固有の問題があるが、ヘッセン州とバイエルン州は、ドイツ連邦のジグソーパズルにおいて重要なピースであり、この2つの州で現首相のシュルツが率いる〔中道左派政党〕SPD(ドイツ社会民主党)は、〔極右政党〕AfD(ドイツための選択肢)の後塵を拝し、メンツが丸潰れとなった。 SPDは、ヘッセン州での健闘を見込んでいたのだが、AfDの18.4%に対して、15.1%という惨憺たる結果だった。金融の中心地フランクフルトを含むヘッセン州は、極右政治の長い伝統があるが、今回
![アダム・トゥーズ「ドイツの財政健全化への執着は、有権者を極右の支持に追いやっている。近年のドイツの成功とされているものについて」(2023年10月9日)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/0841b5902fa02e6b669afe7688d62039475c7d16/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fi0.wp.com%2Fecon101.jp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2024%2F01%2FF04.webp%3Ffit%3D1200%252C555%26ssl%3D1)