原発の廃炉まで20年、200兆円。この国が背負っている現実はあまりにも重い。しかし、そこを直視せずに、この国の未来など語れない。どう現状維持するかではなく、どう変わるか。そこから始まる---。 「時間がない」という脅迫 加藤 今の日本社会を一言で言うと、「浮き足立ち社会」になるでしょう。たとえば原発の再稼働。原発全停止が実現すると「夏に電気が足りなくなるぞ」とまずタイムリミットを置き、人を急き立て、浮き足立つ形で国論を二分する大問題が提起されています。これが最近の特徴ですよね。 内田「原発がなければ生きていけない」と言っていますね。冷静に考えれば、そんなわけないのに。 加藤 テレビや新聞も特集を組んでいます。 内田「待ったなし」という誰が決めたかわからないタイムリミットだけあって、「もう時間がない、残された選択肢はこれしかない」と迫る。時間がないことを言い訳にして、考える義務を自己免責して