【疑惑の濁流】 発表前に入手した企業の秘密情報をもとに、株売買をして暴利をむさぼるインサイダー取引。その「情報」の範囲や定義をめぐり、証券市場が揺れている。法の盲点を突く投資家が後を絶たない中、証券取引等監視委員会が“伝家の宝刀”を抜き始めた上、新たな最高裁判断も影響を与えそうなのだ。さまざまな形で情報が駆けめぐる証券市場。投資家がどのような情報を聞き及び、取引すれば違法なのか。「白黒判定」のボーダーを探った。(花房壮) ■「あの案件、そろそろ…」はシロ? 「いい話があるよ」と聞いたのか、それとも「増資話があるよ」と聞いたのか−。 市場関係者の間で今、インサイダー取引の“盲点”にかかわる係争が注目されている。 建設や流通などを手がける「ジェイオーグループホールディングス」(大証2部上場廃止)の増資をめぐるインサイダー取引。証券取引等監視委員会は昨年8月、投資家5人に課徴金納付命令