本書を読みながらまず思ったことは「おいおい、日本は太平洋戦争からまったく何も学んでいないじゃないか。」という一点だった。 もちろん、この歴史に学ばない日本については、様々な時局で指摘され続けていることは判っている。無責任きわまりない年金行政や、革新性を失い戦力を逐次投入し、衰亡する家電業界などがその代表例だろう。しかし、福島の原発事故とその事故処理を目にし、本書を読んだあとでは、この日本の体質は自らの身に迫る危機として感じることができるはずだ。 官僚の不正や大企業の非効率を非難するだけですむ時代はまだよかった。原発やいじめ問題など行政の怠慢による生命の危機や、大企業経営の失敗による大量失業などが迫ってくるいまこそ、日本人は腹を据えて、太平洋戦争から学ばなければならない。 この分野では野中郁次郎らによる『失敗の本質』という優れた先行書がある。ミッドウェー海戦やレイテ海戦など、日本軍の太平洋戦
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