安倍政権が目指す金融の大幅緩和策への期待から、円安が進み、株式市場が値上がりしている。その一方で円安により輸入物価が上昇。ガソリンや灯油の価格急騰が止まらない。あおりで影響を受けているのが暖房用の灯油や船舶用重油が生活必需品である東日本大震災の被災地の人々の生活。現地を歩いた。 (木村留美、写真も) 雪がちらつく宮城県石巻市。津波で家を流され、仮設住宅に夫と住む内海孝子さん(72)宅では窓ガラス一面に荷造り用のプチプチした気泡シートが、テープで張ってあった。「石油ファンヒーターのぬくもりを保つために張りました。最近灯油が値上がりしているから」。内海さんがため息をついた。 寒さが厳しい東北ではエアコンでは足りず、石油ストーブと灯油が必需品。特に壁の薄い仮設住宅では「生命線」。しかし、周辺の灯油価格は最近一リットルあたり五円上がって九十九円に。昨冬に比べ八円も高く、毎月七十リットルは使う内海さ