公証人が作成した公正証書の遺言が信用できないとして、宇都宮市内の男性(50)が遺言に従い所有権移転された土地建物の登記抹消を求めた訴訟の判決が3日までに、宇都宮地裁であった。竹内民生裁判官は「遺言は効力がない」と判断、登記を抹消する手続きを命じた。書式の不備で無効になる恐れがある自筆の遺言に比べ、公文書である公証人作成の遺言公正証書は、信頼性が高く、安全確実とされる。日本公証人連合会(東京都)は「確定していない個別案件にコメントできないが、(公正証書の遺言を無効とした判決は)極めて異例」としている。 判決によると、公証人(昨年8月に退職)は2008年10月22日、壬生町の病院を訪問。原告男性の父親から遺言を聞き取ったとして、土地建物などを父親の知人女性に遺贈する遺言公正証書を作成した。父親は翌日死亡した。 公証人は訴訟の中で「(父親の)発言ははっきりしており、意識は明瞭だった」と文書回答し