――ラピダスが誕生した背景でもありますが、日本やアメリカなど各国政府は巨額補助金を支出し、半導体産業の振興に乗り出しています。 補助金のおかげで資金不安が減り、成長する企業もあるだろう。だが同時に、補助金をもらうことばかり考え、進歩しなくなる企業もある。 私はアメリカの複数の議員とCHIPS法(アメリカ国内の半導体産業に関する政策)について議論をした際、「産業全体を振興したいなら、インテルやアップル、TSMCのような大企業におカネを与えるだけではダメだ」と指摘した。新しい技術は、新しい企業が生むのだから。 歴史が教えてくれるのは、政府の産業振興策は役に立つこともあれば、そうでない場合もあるということだ。アメリカは自由貿易協定によって多くの雇用を失ったが、その割に自動車の価格は期待通りに下がりはしなかった。政策の効果は複雑であり、予測不可能だ。 制裁が中国を強くする ――アメリカは自国産業を