『人質の経済学』。物騒なタイトルの本だ。 そして、中身はもっと物騒かつ深刻だった。 中東やアフリカで頻発する外国人の誘拐。その『ビジネスモデル』の詳細、犯罪組織の成り立ちや実情、そして、各国政府の対応の内幕が、身代金の交渉人や、誘拐された本人・家族らのインタビューを含め、詳細に語られている。 金払いNo.1はイタリア 著者は、マネーロンダリングとテロ組織のファイナンスに関する研究の第一人者で、イタリア人女性。 本書によれば、イタリア政府は、自国民の身代金を要求された際、『金払い』が、もっともよいらしい。 と聞くと、人道的に思えるけれど、その金払いのよさゆえ、多くのイタリア人が誘拐されているというのだから、皮肉な話だ。 犯罪のグローバル玉突き現象 そして、年を追うごとに身代金の相場はつり上がり、イスラム世界の混乱、シリア難民、と事態はますます複雑化して、そこにさらなる犯罪がはびこるという悪循
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