「共読」が起こる本屋に 「いまの本屋さんに欠けているのはセレクトショップの感覚。小説、ビジネス、音楽…と『分類』するだけでしょう。そうではなくて、本棚には『文脈』が必要。本の並びそのものが、シナリオであり、ドラマでありうる」 本書には、東京駅前にある大手書店の一角で運営していた実験的店舗の全容が、舞台裏の様子も含めて詳述されている。文脈棚、共読、本の案内人…既成概念を打ち破るさまざまな試みが繰り広げられた店は、9月末に惜しまれつつ閉店したが、強烈な磁力で本好きを引き寄せた。 迷路のような本棚に、縦横無尽に並ぶ5万冊。五十音順でなく、作家別でもなく。書評集『千夜千冊』で紹介したものを中心に「キーブック」を選考。その前後左右に、関連する本が配された。「たとえば村上春樹とファッションの本とバーの本が隣り合わせる」。その脈絡やつながりが、訪れた人を刺激する。 「本は数冊が組み合わさることですばらし