ゲームの名は捕鯨問題 (日本鯨類研究所 1994年発行「捕鯨と世論」より) 三崎 滋子 日本鯨類研究所 国際関係担当 序章 日本が西欧と駆け引きをする場合、しばしば交渉 が暗礁に乗り上げる。ある人は、その原因を「野 球」と「ベースボール」の違いであると揶揄する が、実際根本的に何かが食い違っているにもかかわ らず双方とも同じルールでプレーしていると錯覚し ているところがあるのかも知れない。 捕鯨間題がそんなゲームであるとすれば、この ゲームは今9回の表で、日本が攻めに回っている。 どの塁にもランナーはいない。相手チームは10点 をあげているが、「日本チーム」はわずか1点であ る。日本はまたファウルを高く打ち上げたが、ボー ルは一塁の先の壁にはじけて、相手はキャッチする 意志さえ見せない。球場には、白けムードがただ よっている。それでも、日本チームは驚異的ねばり をもって、この「捕鯨間題」ゲ