しばしば、医療機関の経営不振を医療者の怠慢のせいにされる。「単純に経営が下手」「胡座をかいて赤字体質も平気のまま」などと言われたこともある。だが、経営努力をしていないわけではない。以前勤務していた病院では、医局に「先週の病床利用率○○%、目標は××%」と張り紙がしてあり、だいたい目標が95%くらいだった。病床利用率とは大雑把に言うと、ベッド数あたりの入院患者数で、100%に近ければ近いほどベッドが効率的に利用されていることになる。病床利用率が下がると、院長が朝礼ではっぱをかけていた。ちなみに、かの病院では、最近の病床利用率は80%後半で赤字とのことだ。 病床利用率を上げるために空きベッドを少なくすると満床となりやすく、救急患者が「受け入れ困難」になってしまう。これは救急病院だけではなく、慢性期を診る病院の問題でもある。救急病院に空きベッドをつくるには、病状が落ち着いた患者さんにはすみやかに