政府が6月28日に発表した金融庁の人事に、霞が関や金融業界がざわついた。栗田照久長官の勇退だ。「通常の2年コースを完走せず、1年で退任する理由が見当たらない」(三菱UFJ銀行役員)というサプライズが原因だった。 7月5日付で栗田氏の後任に昇格したのは企画市場局長だった井藤英樹氏だ。民主党政権時代には亀井静香金融担当相(当時)らの秘書官を務めた経歴を持ち、永田町との間に築いたパイプは太い。岸田文雄政権が資産所得倍増プランを策定した際は企画・立案を主導し、新NISA(少額投資非課税制度)の実現にも奔走した。