澤田瞳子(さわだ・とうこ) 1977年京都府生まれ。同志社大学大学院で奈良仏教史を研究したのち、2010年『孤鷹の天』で小説家デビュー。同作で中山義秀文学賞を受賞。2013年『満つる月の如し 仏師・定朝』で新田次郎文学賞、2021年『星落ちて、なお』で直木賞を受賞。他の著書に『若冲』『火定』『名残の花』『輝山』『月ぞ流るる』等があり、最新作『のち更に咲く』は初の平安ミステリー。 >「作家の読書道」のバックナンバーは「WEB本の雑誌」で 「古今東西の名作を読む」 ――いちばん古い読書の記憶を教えてください。 澤田:絵本はいまだに何冊か手元にあるので、たぶんこれらの記憶なんだろうなと思うんですが、はっきりしません。『てぶくろ』というウクライナの民話の絵本は落とし物の手袋の中に動物たちが入っていく話で、それは今でも好きなので、小さい頃もお気に入りだったんじゃないかなと思います。それとか、定番の『