謎に満ちたジャズ・サックス奏者/作曲家のウェイン・ショーター(Wayne Shorter)は、ジャズ・ロックやフュージョンの生みの親の一人でもある。そんな彼が、2023年3月2日、ロサンゼルスの病院で亡くなったと広報担当者がニューヨーク・タイムズに伝えた。89歳だった。彼は、3番目の妻であるキャロライナ・ドス・サントスと娘のミヤコを残してこの世を去った。 先達のジョン・コルトレーン同様、ウェイン・ショーターはソプラノ・サックスの人気向上に大きく貢献した。ソプラノ・サックスはメロディーを奏でるだけでなく、浮世離れした不気味な音色を出すのにも打って付けの楽器だ。 ショーターは1950年代後半のハード・バップ・シーンでテナー・サックスを演奏して経験を積んだあと、1960年代に発展したポスト・バップ・ジャズ界の中心人物として名を馳せた。その時期には一連のソロ・アルバムをブルー・ノートから発表したほ