2020年1月17日 日本銀行決済機構局 田中修一*1 菅山靖史*2 全文 [PDF 451KB] 要旨 ブロックチェーン技術は決済・金融分野での活用が展望され、応用研究や実証実験が進められている。参加者が自由にネットワークに加わることが可能なタイプはパブリック型と呼ばれ、特定の管理者や参加者間の信用に依存することのない分権的な枠組みや、障害耐性、悪意を持った参加者による改竄耐性などがメリットと考えられている。 一方、パブリック型は処理性能の拡張性が乏しく、暗号資産取引においては処理遅延が生じるようになった。処理能力拡張の難しさはスケーラビリティ問題と呼ばれており、当初の対応としては、ブロック容量とブロック生成間隔に関する制約を緩和することで、処理能力を高める手法が用いられた。しかし、ブロックチェーンの分裂や分権構造の後退といった問題が発生し、処理能力を柔軟に拡張させることは難しかった。